Globetrotter再生記 その5

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ひとしきりバラして洗ったので、組み上げに入る。

地板。
ぢいたと読む。⬅︎こないだ知った。


刻印を探したがこれくらいしか見当たらなかった。EBはエボーシュだろうか、その下は何を意味するものかは調べないとわからない…


香箱を置いて2番車をセット。受けも取り付ける。ルビーには日本の誇る高性能時計用オイル、シチズンのAO-2を注油。

ガンギ車までセットして受けを取り付け。受けをネジ止めする前に、香箱を少し巻いたら全ての歯車がスムーズに高速回転する事を確認しておく。

切り替え機構の裏面。ゼンマイの軸の部分には、AO-3を注油。


裏返して日の裏を組み始める。


切り替え機構をセット。

再度裏返してアンクルを取り付ける。
このモデルのアンクルは、石が入っているやつではなく細いピンでガンギを送るタイプ。
うまくつけずにゼンマイを急に解放してしまうと、高速で回る歯車に触れ簡単にピンが折れるため、ものすごく丁寧に扱う。
すごい難しかった…

裏返してカレンダーまで組む。

アップ。
スプリングの正しい取り付け方はこうである。
なお、カレンダー送りを置いてきちんとカレンダーを合わせてからカレンダー抑えを取り付け、ここに見える窓からスプリングを滑り込ませて入れる。
スプリングまでセットしてカレンダー抑えをつけようとすると、ネジかスプリングを確実に飛ばすので注意w


以下の写真は分解時の写真。スプリングが逆についている。このため、カレンダーがズレて表示されていたのであった。

これが分解前のズレてるカレンダー。かっちょわるー


カレンダーを組んで正しく送られる事を何度か確認したのち、テンプを取り付ける。天心を折ったら全てが終わるため、アンクルと同じくらい緊張する作業である。

何度も取り付け直し、ようやく完了。ちゃんと振れている!!この瞬間の嬉しさはいつになっても変わらない…

文字盤の取り付け。

傷、なんとかならんのかのう…

夜光もくすみがある。ヌーロを塗って良いのかどうか思案したが、文字盤ノータッチの原則』注1に則り、何もしない事にする。
傷さえなければ綺麗なのだが…

取り付け。カレンダーもバッチリ!

ここからは針の取り付け。

この時計の特徴、二つのタイムゾーンを示す時針を取り付ける。どちらかを折らないように、慎重に…
マスキングテープには時針と分針もスタンバイ!

時針の取り付け。新しい夜光もいーかんじ!
なお、他の二つの時針は独立して動かせないため、住んでいる地域に応じてこの時点でそれぞれの時針の間隔を調整し決める必要がある。


いよいよ新たに塗装した分針!

こちらも、慎重にセット。曲がりなどないかチェック。他にも、他の針や文字盤と干渉していないかなど何度も回してチェックする。
ところでこの針入れ機、本当に買って良かった。これがあるのとないのとでは針入れの精度、そして針への負担が全く違う。

続く…



注1 … 文字盤を少し直したりするのは簡単そうに見えるが、やって見るととても難しい上に他の箇所とのバランスも崩れ、しかも一切修正が効かないため、なんとなく少しクリーニングできそう、とか直せそう、とかって見えても絶対に手を出さない、という経験則。
せいぜいブロアーでチリを飛ばすか、ロディコでプリント部分を剥がさないよう気をつけながらゴミを吸着させる程度にしよう。

Globetrotter再生記 その4

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個人的には最大の山場であった針の塗装を終え一安心。次にムーブメントのオーバーホールへ。

うーん、傷と汚れだらけの文字盤…。残念…。


文字盤を取り外す。
なんかカレンダー抑え、真ん中で折れた形跡がある…。斜めに入ってる白いラインであるが、ここで少し谷折りになっている。何をどうしたらこんなことになるんだ!?!?無理やりめくってカレンダー抑えの調整を試みたのだろうか?

カレンダー抑えも、外す。

さらに外す。カレンダーが丸見え。
カレンダー送りのバネと部品が見えるが、カレンダーのズレはこいつらのせいであろう。あとでゆるりと見返すことにする。とりあえずバネが折れてるとかでは無さそうなので、一安心…


カレンダーも外す。切り替え機構が見たことない仕組みだ。しかしこれはこれでシンプルでとても良い!!
右上の金の円盤はカレンダー送りで、これが一周すると中心少し左に写っている突起がカレンダー内側の歯を押し上げて1日分送るという仕組み。


筒車など諸々取り外す。
スプリング系は怖くてまだノータッチ。下部に写っている長い弧を描いた部品がカッコ良い。これは、竜頭を押し込んだ時に主ゼンマイの巻き上げに歯車を接続させるためのもの。

切り替え機構の抑えを外す。素直なゼンマイ達である。

切り替え機構をさらにばらす。


恐る恐るバネ類を取り外す。
上の写真の右下に写ってるようなほっそーいスプリングは最初にロディコをくっつけてから取り外す技を覚えた。こうすることでピンセット滑りや他の部品の干渉などでバネを飛ばすリスクを軽減させられる。

裏面へ。テンプと、輪列抑えを取り外した状態。


4番車やガンギ車などを取り外す。


香箱抑えも取り外す。


ここまでバラしたパーツ達。

香箱と角穴車。

中身はこんな感じ。まだグリースがそんなに汚れてなかったので、細かいカスを取り除き再度グリースを注入して蓋をする。バラして洗いたいのだが、昔、入れる時スプリングを折ったとがあり、まだまだ練習が必要なため今回のような大事な時計では見送り。

地板をベンジンで洗う。穴石などは爪楊枝でこする。

ケース。

ベゼルと、インナーベゼルが圧入されたプラ風防を取り外す。


主だった部品は、ベンジンで洗ったあと超音波洗浄にかける。めっちゃきれいになった…w ケースも一緒に洗浄。


つづーく。

Globetrotter再生記 その3

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さて、塗料が乾いたら微調整。まずは裏側の塗料をカッターを使ってこそぎ落とす。

裏側の塗料は時針に干渉したり、針自体の重さを増やしたりと邪魔になるだけなので、できるだけ綺麗にこそぎ落とす。



表側。

ピンセットでつまんだり爪楊枝で抑えたりしながら形を整える。


さらに、ロディコで抑えて細かい削りカスやバリを取りながら形を整えていく。


夜光が入る部分も丁寧に…




















根元部分をシンナーにつけて塗料を溶かして、完成。…といいつつほんとはこの後、微妙に塗料を塗り直したり、形を整形し直したりしているので、これはあくまで途中経過の一枚。
ほんと難しい作業であった。

時針と同じように、マスキングテープに貼り付けて夜光を塗る。だいぶ慣れてきたw

んで次に秒針。なぜか分からないが、このように先端だけ色がハゲているので、


こちらもタミヤカラーで補正。ロディコで持ったまま、タミヤカラーの蓋の部分にくっついた塗料に軽くすべらせるだけ。

本体である瓶の部分すら使わず一瞬で完了w



さてこちら、ある種お宝画像であろう。

この時計のアイコンとでもいうべき、GMTとNYTの時針である。このように接続されているため、サマータイムなどの調整は一切不可。でも、この発想は本当に素晴らしいと思う。他の時計で見たことない。…よね?
 
Above picture shows GMT and NYT hands of SICURA Globetrotter.  Handle with care especially when you remove from movement and deploy on it, otherwise you may easily damage or distort each of them. 

Since I never see only hands of this model in any auction or vintage watch seller web site, once you fail to keep original condition it'll be very hard to recover, good luck!!

Globetrotter再生記 その2

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まずはどこから手をつけようか…



針からやろう!


この時計の最大の魅力は何と言っても針で、三つもある時針に加え、ビビッドなオレンジの分針がとってもよいのである。

本来ならこんな感じ👇

早速…


裏蓋を開け、ムーブメントを取り出す。ムーブメントはゆるーい金具でケースに固定されていて、簡単に動くため竜頭操作時のグラつきがある。こーいうのは、時計の癖として楽しんでいくものと考える。

秒針を外す。



分針を外す。

時針も外す。
すると、GMTとニューヨーク時間を示す針が見える。そう、こいつらはつながっているのです。発想が素晴らしい!

針を練習用の針とともにシンナーに漬け込み…

取り出す。夜光が思ったより取れなかったので、


次はベンジンの中で泳がせる。三角の針はテスト用の針。

ピンセットやドライバーで夜光をこそぎ落とす。

その次は短針を研磨。
爪楊枝と万能研磨剤であるサンエーパールを使い、地道に少しずつこする。折らないように、少しずつ…


USBメモリがちょうどよい大きさだったので作業台にするw

分針も同じように洗い、こする。ピカピカになった。

さて、短針に夜光を入れる。短針は色がついてなくてシルバーのままなので、夜光を入れたら終わりである。

ここでとりいだしたるはタミヤのマスキングテープ。経験的に、マスキングテープはちゃんとしたやつを使わないとうまく夜光が入らない。これは間違いなくオススメ!




マスキングテープに短針を貼り付け、テープのたわみで夜光が曲がらないようにプラスチックのフロスで左右と下部を固定する。

ヌーロの夜光。色的にこれが一番ビンテージ時計に合う!




裏からちょいちょいと塗っていく。コツがあるので、いらない針で何回か練習してからやることを勧める。
往往にして練習用の針の方がうまくいったりするのだが…

一回塗ってしばらく放置し、二回塗る。はみ出さないよう、ほんの少しずつ。


さて、次は鮮やかなオレンジになるべき、分針。


時計 針 再塗装とかでググって発見したゼンマイワークスのページを参考に、タミヤカラーで塗ることを決意。


このままぽちゃんと漬け込み…

この通り!

ほんとは、固まり方や広がり方のムラなどあって、思ったより難しい作業であった…。

もっと上手くやる方法はあるはず。タミヤのリターダーとか使えばもっと滑らかに塗料を塗りつけることができるのではなかろうか?エアブラシなら一瞬なのだろうか?

なお、失敗したらシンナーのプールで泳げばキレイになりリトライ可能。


続く…

Globetrotter再生記 その1

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ちょい前に某ベイで入手したジャンクSicura Globetrotter。初のシクラの時計としてとても嬉しい一本であった。


分厚いインナーベゼルには世界の都市名がビッシリと書かれている。ベゼルを回すことでその都市のタイムゾーンがわかるという仕組みである。
が、状態はこの通り。まあ市場価格の5分の1で入手したため、想定通りではある。むしろ、動いているだけめっけもん。


ざっと書くだけでも、

夜光塗料の剥がれ
針のよごれ
分針のオレンジ色がくすんで消えている
秒針がなぜか先の方だけ色が落ちている
傷だらけの文字盤
色あせたベゼル
カレンダーの数字のズレ
くすんだケース
遅れまくりで不安定な運針
やたら小さくて飛び出た竜頭
全然あってないGMTとNYTを示す針


と、たくさんの問題が…

ちなみに、こちらがネットで拾った本来の姿。微妙にダイアルデザインは異なるが、カラーなど参考になる。

というわけで、これらを少しづつ解決しましょうというお話。


針の夜光の入れ直し、ついに最適解を得た…

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ビンテージ時計好きなら必ず考えることだと思うのだが、時計の中でも特に脆く崩れやすい部分は、夜光である。手に入れた時計の針の夜光がかけてたり、抜けてたりすればがっかりするものだ。

しかも粉末状となって文字盤上部に落ちたものはそのままムーブメントへ入り込んで正常な動きを妨げかねないため、危険でもある。

というわけで、しばらく前から夜光の入れ直しにとても興味を持っていたのだが、なかなかうまくいかなかった。

ネットで検索して時計の針に使えそうな夜光を見つけて取り寄せたりしたのだが、いざ使ってみると色がイメージと違う…

これ、時計の夜光 入れ直し とかってググってほぼ唯一出てくるサイトで試しているやつなのだが、めっちゃ硬くなるのはいいとして、色が緑色すぎるのである。

携帯の充電器とかエアコンのリモコンとかに塗って時計以外には結構活用してるものの、時計、特にビンテージの針と文字盤には合わない。

ちくしょーと思い黄色の蛍光塗料を取り寄せて混ぜたりしてみるが、少し薄くなるだけでやはりおかしい…

なんで夜光ってキツイ緑とか黄色ばっかりで、白っぽい色が無いのだろう!?!?


ちなみに時計専用のものはベルジョン社のものが楽天とかで買えるが、一万を超える、かつ色を混ぜるにはプラス五千円くらいで他の色の粉末を買わないといけないため、コスト的に踏み出せない。いつかは欲しいのだが…


というのでずっと困っていたのだが、


ようやく正解に辿り着いた。


その名も 『ヌーロ』





この、ミニサイズを買った。





オサレパッケージがテンションあがる!



テスト用の針に塗ったらこんな色。ちなみに塗る方法は、マスキングテープに針をくっつけて、裏側から塗料を流し込んで待つだけ。固まった頃にそーっとマスキングテープを剥がして完了。古い夜光はカッターやマチ針でこそぎ落とすよろし。

おお!!
めっちゃいい!!

…ちなみにそれまでの緑色のは、こんなだった。黄色混ぜてもめっちゃ緑色。



んで、こっちがヌーロ。裏側。


表側。上品な乳白色。


試しに、テストマシンに針をつけてみた。他の夜光の一部や分針には緑色が塗られているが、これらと比べても圧倒的に上品で大人しい乳白色である。

ようやくこれでずっと悩み続けていた夜光の入れ直しに一定の満足のいく解を与えることができた、よかったよかった…。

ビンテージ時計好きで、針や文字盤からぽろぽろ落ちてる夜光にお悩みの方は是非買ってみましょう、満足のいくこと間違いなし❗️ 👇



夜光なので、当然光る。机に出したまま電気を消すと、ボヤーっと不気味に輝いている…



以上、腕時計の針にぴったりな夜光塗料のご紹介でした。

Wittnauer 手巻き時計の美しいリーフハンズ

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雨の中…




むかーし、某bayでかったジャンクの中に埋もれてた一本。初めて自分でバラして洗浄、組み立てして動いた時計であるので、思い入れもひとしお。

雨あがる。




なんの変哲も無い三針時計ながら、時針と分針はとても美しいブルースチールのリーフハンド。


ケースのメッキは剥げかけ。


なんとか文字盤綺麗にして、生まれ変わらせてやりたいのだが…


カンパイ あきた!

カテゴリ:
美酒王国、秋田。

頂き物。

いやーなんか、コレ!っていうぐい呑がなく百均で買ったガラスのおチョコ(意外と良い)で日本酒を飲んでたのだが、思いがけず素敵なやつを頂きとても嬉しい。


早速カマボコとスモークチーズを切って味見、と…



酒はうまい!が、…やっぱカマボコはちゃんとしたのが食いたいなあ…😑

Swatch 電池交換と簡単お手入れ

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友人の母親のスウォッチ。



シンプルながらも気品あるデザイン。プラスチックベゼルとブレス部分に埋め込まれたガラス石が華やかである。

が、くすんでたり、プラ風防の表面には無数の擦り傷…、手入れが必要な状態ではある。

こういう、しっかり使い込む中でこびりついた汚れや傷というのは、好感の持てるものだ。持ち主とともに、どれほどの苦楽を共にしてきたのであろうか…

ブレスのくすみ



裏蓋を外して電池を取り出し、…



サンエーパールでブレスを磨く。これはもうひたすら磨く。側面も忘れずに!

かなり深い傷のある風防は、耐水ペーパー1500番、2000番で削った後にサンエーパールでゴシゴシ磨く。

磨く時には、ベゼルもこすってしまわないよう、マスキングテープで保護。
直線だから楽である。



磨く男の図

仕上げに超音波洗浄して、完了。このモデルはムーブの外し方が分からなかったので(嵌め殺し?)、水に浸からないよう手で持ってベゼルギリの位置で上下ともたっぷり浸して洗浄。

完成!

ステンレスの磨きが甘いが、手動なのでこんなもんだろう。ガラス石周りが超音波洗浄でとても綺麗になった!


裏側。女性の場合は、時計はアクセサリー的な意味も強いため、ピカピカ光るというのは大変重要である。バックルのとこだけヘアラインを入れてツヤ消ししようかとも考えたが、ピカピカ度が減少するためやめておいた。

お母様には喜ばれたらしい。よかったよかった!

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