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このブログの読者には、ビンテージ時計の愛好家もいれば、まだ持ってないけどいつかは欲しいなあというような方もいらっしゃる事であろう。

ここに、さらなるビンテージ時計界の発展と普及を願い、ビンテージ時計を使用する際の注意点について書いていきたい。

なお、内容は僕の独断と偏見であり、なんらの補償がなされるものではない旨、ご理解くださいませ。

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上品さ、シンプルさはビンテージ時計の大きな魅力の一つ




1、腕に巻いて歩かない。

え?時計なのに?と思うかもしれない。はい、時計なのに。腕に。巻いて。歩かないで下さい。これ基本。

ビンテージ時計は時計であると同時に、絵画のような芸術品である。一点ものか工業製品かの違いはあれど、希少である事には変わりなし。身につけて移動するという実用には向いていない事は間違いない。

もちろん、家・店・オフィスの中だけとか、ちょっと飯くいにいくだけとか、そういうのは問題ない。長距離を歩いたり人混みを避けられないときは、巻いて歩くべきではないというお話。

※「ビンテージ時計を巻く時に気をつけるべきこと」というタイトルのエントリにも関わらずいきなり巻くなというのは逆説的である…が、「時計を巻く」というのは「時計を使用する」くらいのニュアンスで使ってるものとご理解くだされば幸い。

2、絶対に濡らさない。水に近づけない!

これは現行時計でもそうだと思うのだが、ビンテージの場合は桁違いにお気をつけください。

たとえば、トイレの部屋に入る前に外し、トイレの部屋から出た時にまたつけるというのは基本中の基本。歯磨き、手洗いの際にも必ず外すように。目に見えない飛沫がかかって、錆や汚れの原因になり、ビンテージ時計の場合はこれが文字盤、針にダメージを与え、命取りになる可能性がある。

3、衝撃は徹底的に避ける。拍手とかもダメ、スポーツなんて論外。

ちょくちょく書いてるが、ゴルフでロレックスを巻いてるおじさま・おねーさまは厳に慎んで頂きたく。

スポーツはやる時だけではなく、観戦時の着用厳禁。観戦時は手元の注意がおろそかになるだけでなく、手を振ったり拍手をしたりと時計に過大な負担と不慮の事故などのリスクを強いる事となる。

同じ理由で、派手目なコンサートなどでの着用もおススメできない。

4、紫外線に曝さない

これについて書いている記事があまりなくて僕は常々、とても不思議に思っているのだが、紫外線というのは大変凶悪な性質をもっていて、とにかく物の性質を変えてしまう。

ビンテージ時計では、文字盤の変色、変質などこの紫外線によるものが結構多いのでは?

したがって、時計への紫外線被曝を抑えるフィルム、あるいはクリームのようなものがあれば爆売れすると思うのだが、不思議とそんなものが存在しない。ほんとに不思議。なぜ??結構探したけど無かったので知ってる人がいたら教えてください。

つーか、風防がUVカット機能を持って然るべきである、と言いたい。

5、絶対に信頼できる!!という業者以外には絶対に預けない。

これもとっても大事。時計屋さんだからといって、あるいは大きなお店だからといって大切なビンテージ時計を無思慮に預けるなぞ自殺行為に等しい。誰がどう触るか分からない。

僕はまだあんまり慣れてない頃、大切なジャガールクルトのメモボックスを時計屋に持っていき、開けられたことがある。この時、僕の目の前で、オープナーがすべって思いっきりすり傷が入った!!

「は???」と思い慌てて時計を取り返したが時すでに遅し。

あなたにとっての宝物は、大体は他人にとってはただの古臭いモノなので、思ったより適当に扱われます。

今はSNSで幅広く時計職人の情報を集められるし、なんだったらコミュニケーションだって取れてしまう。アナログに電話をかけて話をするだけでもある程度情報がわかる。信頼できる時計職人ときっちりコミュニケーションを取って、作業スコープを明確化し、預けるようにしましょう。結局は、人。

6、人に貸さない

これもある意味当たり前だが、人に貸さない事。貸すときは、最悪貸した5秒後に10mの崖から落としても別にいいと思える人、思える時計のみ貸す事。

7、いつでも動かなくなる覚悟をしておく

人との出会いと同じく、ビンテージ時計は一期一会。同じ個体には二度と出会える事はなく、また、いつか別れはやってくるもの。

30年、40年もののビンテージとなると、犬の年齢に例えるともはや17、18歳に匹敵するほどのか弱さである。
いつ動かなくなっても仕方ないと思い、心の底から時計を慈しんで欲しい。

8、常日頃から替えの部品を探し、スタンバイさせておく

とはいえ飼い犬とは違って、替わりの部品が見つかったり、別作させたりしたらまた動き出すのが時計のスゴイところ。

ETAやバルジューなどのメジャーどころはある程度部品が流通しているので、きになる部品はストックしておくことをお勧めする。

僕も愛用のWittnauer Futuramaが壊れたとき用にムーブをまるごとストックしている。

9、他人に触れられない所に保管しておく、温湿度は安定させ、ドライボックスに保存する、あるいはジップロックとシリカゲルで保存する。

これは貴金属に関して当然と言えるが、湿度を気にする必要がある点で時計はデリケートである。文字盤などの見た目にはもちろん、機械の精度やメンテナンス要否などに影響する。

おすすめは、カメラと同じように、ドライボックスに入れて保管する事。ドライボックスなど昼飯の値段で買える。十数倍する高級な時計ケースより、湿度管理ができるという点で大いに有意であるといえよう。



難しいなら、ジップロックにシリカゲルと共に封入して保存してもよい。これは長期保存に適している。

10、腕に巻いて運転しない。電車にも乗らない。

これめっちゃ大事。

車は密室であり、また、至る所に至るものがある。運転は動作を伴うため、その動作の際に腕を物にぶつけたり擦ったりすることがある。かつ、当然意識は運転に向いているため、腕時計など気にしていられない。

個人的見解だが、運転時に使用するかどうかで時計の状態は大きく変わると思っている。

同じく、電車も危険。つり革、支柱、他人のカバンや腕、あらゆるところにぶつける要素が潜んでいる。電車に乗る際にビンテージ時計や傷をつけたくない時計を巻くのは、心の底から止めとけと言いたい。

…一度失敗したらこんなことは常識なのだが、一度でも失敗させないためにあえて、あるいは諸兄がお忘れだといけないと思い書いている所存でございます。

11、何かの際にスマートにすぐにポケットにしまえるよう、どれか一つのポケットは必ず空けておく。

1から10までを守って時計を着脱していても、時計を仕舞ったポケットに小銭や鍵が入ってた、などというのでは本末転倒、言語道断。スマホなんて磁力を持つからさらにありえない。

普段から、落ちにくいポケットを意識してカラにする様心がけるべし。

12、ムーブメントの型番がわかるなら、ググって整備マニュアルなどを探し、紙保存。

ある程度メジャーなムーブメントなら、だいたいWeb上にムーブメントのメンテナンスマニュアルが載っているものである。

もし所有している時計のムーブメントがわかるのであれば、その型番とpdfとかのワードでググって、マニュアルをダウンロードしておこう。機械への愛着が高まると同時に、万一の際にメンテナンスが必要になっても、マニュアルとセットで時計店に持ち込めば、店の人も分かり易いし、「こいつできるな」と思われて舐めた対応がされにくい、、、であろう、多分…。





では、楽しいビンテージ時計ライフを!


※尚、オトーワインダーについては意見の分かれるところなので特に言及していないが、個人的見解では、ビンテージ時計に使用するのはオススメしない。理由は、オイルの劣化よりも常に巻かれた状態で駆動するほうが機械系への負担と故障のリスクが高まるのではないかと思われる為。