SICURA GlobeTrotterで一休み
最近のカフェにはシャレオツなテーブルがあるもので、コーヒーを飲むついでに左手首の換気をすべく時計を机の上に置いて写真を撮った。
正真正銘のビンテージ時計、やはりこういったやや色あせた木材によく似合っている。
鮮やかなベゼルは、カフェの清涼感によりいっそう引き立てられ、心を静かに癒してくれる。
忙しい文字盤デザインだが、クッションケースがどことなく昔ながらのおおらかさというか、温かさを醸し出しているようだ。
この時計がリリースされた当時、今から44年前、ここまで世界が狭くなり、Flatになるなど誰が想像したであろうか?
時は1974年。
カシオが時計事業に参入した記念すべき年。シチズンが画期的なデジタル腕時計、クォーツリキッドを発売。
ワールドカップでは西ドイツが栄光の14番を背負った英雄、故ヨハン・クライフ率いるオランダを破り優勝。
長嶋茂雄が引退し、田中角栄内閣が倒れ、アメリカではウォーターゲート事件でニクソン大統領が辞任し、ゴールドの所有が自由化された。
戦後という一つの時代、四半世紀に区切りをつけ、新たに国際協調、国際競走にひた走る予感を感じさせる激動の年に、この時計は産声をあげた。
自国の時間、世界標準時、ニューヨーク時間が一目で分かり、インダイアルで各主要都市の自国も読み取れるという画期的なコンセプトの時計である。
SICURA Globetrotterの美しく温かいデザイン、そして理念は、決して、経済戦争や資源略取、領土侵犯、宗教対立、環境破壊、人権侵害、いずれをも惹起させるものであってはならない。
それらに立ち向かう世界人類の英知とユーモアを静かに湛えるものであるはずだ。少なくとも、ボロボロのジャンクからこの時計を再生し、愛用している僕にはそう思えて仕方がない。
インダイアルに所狭しと並べられた主要都市名を見るにつけ、未踏の都市の未だ見ぬ人達、名も無き市井の人々に想いを馳せるのであった。
ベルト、そろそろ変えてあげないとなー、次はどんなのにしようかな。
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