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続き。 


日の裏のカレンダー等をはずしたところ。切替機構が二重の受けによって押さえられている。
二つねじをはずし、上側の受けをはずす。



すると・・・

主にアラームの切替機構が外れる。下の写真ではアラームを巻く方のツヅミ車やカンヌキが上のほうに写っている。 カンヌキが上から出ているプレートの下に入り込んでいるように見えるが、これはアラームのON/OFFを切り替える機構で、竜頭を引いたらこのプレートがアラーム用ゼンマイを抑えにいき、アラーム機能がOFFとなる。

そうか、K.825はアラームの主ゼンマイを止めることによってアラームON/OFFを切り替えてるのか・・・と少し勉強になった。結構なストレスがかかる部品ではないだろうか?

そして今回の分解で、一つ目の受けの上部がやや湾曲しており、このアラームのON/OFF機構を阻害していたことが判明した。手作業で、慎重に湾曲を元に戻しながら、何度も取り付け⇒テストを繰り返す。絶対に折ってはいけないのでかなり神経を使う・・・。


時計送り機構は、下側の受けによって押さえられているためまだすべては見えない。 しかし、これだけアップしても本当にしっかりとした機械であるという事がわかる。



もうひとつの押さえをはずして、ツヅミ車を取り出してみた。右側のものが若干すりへっているように見えなくも・・ない。ピンセットの先につけているのだが、どれだけ小さい部品かお分かりいただけるだろうか。iPhone用マクロレンズを装着してみても、いまいちうまく写らない。。。



このとおり。まだ使える状態ではあるのだが、歯車の山をなめることがあるので非常に宜しくない。幸いストックの部品があるので、それと取り替えることにする。買った状態では時計送り(時間のセット)がうまくできなかったのだが、どうやらこれが原因であるようだ。




部品を取替え、ギア類を入れた後はホコリ除けをつけてムーブを放置。ケースの手入れへ。


サビ取り剤につけているねじの様子をみる。画像ではわかりにくいがかなりさびが浮き出てきて、茶色い汚れがたんまり出ていた。この液は少量爪楊枝につけ、地盤側にも塗りつける。それをティッシュとロディコでふき取り、できるかぎりさびの除去を試みる。



これは表側(時計的にいうと後ろ側)の自動巻き機構。二つのばねが見えるだろうか?このバネにハーフローターがあたりコツンコツンという音がするのがこの時計の醍醐味だ。僕はこの機構、この感触が本当に好きなのだ。


針。二本とも汚れていたのでロディコで入念に磨く。見違えるように綺麗になった。よかった。写真は磨く前です。


文字盤を取り付ける。ロディコとチリ吹きで目に見えない汚れもしっかりと除去。もちろん、今回の修理はすべて手袋を装着して行っている。指紋も絶対つけないようにしている。


針を取り付けるときは、傷つきやすいので絶対に針を直接ピンセットでつままないように。塗料が剥げると泣きたくなってくるので。
僕の場合はピンセットでつまんだロディコで吸着してセットし、さらにサランラップをかぶせて指とピンセットで微調整をほどこしながら圧入している。サランラップ活用を思いつくことでかなり綺麗に針入れができるようになった。
もちろん、サランラップ除去後も丹念にロディコで掃除。


ケース研磨とプラ風防研磨の後。キレーになった!

・・・本当に芸術的なシェイプである。僕はこのケースの形状が大好きである。SSの時計の中でも最高傑作の一つではないかと勝手に信じている。これだけで10万円するのも納得。



風防といえば、最近の高級時計はサファイアガラスが採用されている。 そういう時計の価格のうち少なくとも1,2万円分はガラス代である。見た目のグレード感もあり、かつプラ風防のように反射がないので見やすいのはよいのだが、メンテナンス製という点で疑問だ。

プラスチック風防はこのように磨けばいくらでも綺麗になる。が、サファイアガラスは一度傷がはいってしまうと基本的に取り替えるしかなくなるし、取替えも特殊な接着剤が必要になる。プラ風防の場合は、リムーバーでごくわずかにたわませて出し入れ出来るので、メンテナンスの容易性も段違い。

よって、このようにアンティーク時計でプラスチック風防がついているものが、僕は好きなのである。たとえば手持ちのBELL&ROSSのVintage 126などもとてもよい時計で大好きであるが、サファイアガラスなので取り扱いにとても気を使う。 


閑話休題。


このとおり、チューブ周りも綺麗に。歯間ブラシをつっこんで洗う。


ついでだったので手持ちのGOLDのほうもケース洗浄及び研磨。こちらは金なので軽く研磨。プラスチック風防はずっと気になっていたのでようやくスッキリ!した。結構きれいに・・・なった!


Memovox E855のケースが金銀そろってこうやって写真に納まるのはきっと とてもレアだろう。ということで、記念撮影。






さらにつづーく。。。。