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2016年07月

とてもカッコヨイ! Wittnauer Futurama

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僕が機械式時計に興味を持つきっかけとなった一本。


Wittnauer Futurama Retrograde


めっさめさカッコヨイ。

僕はその昔、Watchismoというサイトの看板にこの時計の画像が使われているのを見てから、いつかはこういうカッコヨイ時計を手に入れたいなぁと思っていたのだった。

これがなかなか出回らない。ほんとに。


ウイットナーはロンジンのアメリカでの販売ブランドであるので、まぁまずアメリカでのみ販売されたものであろう。

年数もよくわかっておらず、全部でいくら出荷されたかの情報もない。謎に包まれた一本である。


特にこの黒✖︎金。これが渋い。灰色や白色の文字盤のモデルもあるのだが、この機種に関してはやはりゴールドと黒の組み合わせが本流であろう。これがさらに出回らない出回らない…!


結構頑張って探した末に、二年ほど前?に、コレクターから値切りに値切って手に入れたものである。皮に黄色のステッチが入ったバンドを合わせている。


さて、最近どうも手巻きが重いのでかるーーくメンテナンスすることにした。

裏蓋はこじ開け式で、防水なにそれおいしい?状態である。パカっとあけたらすぐムーブが取り出せる。

ひっくり返して機械台へ。下の写真はすでに自動巻きモジュールと、角穴車、丸穴車のネジをとった状態。キャリバーはETA2784。チュードルなどに採用されている名ムーブである。ハイビートで精度がとても良い。
巻き上げ機構周りにAO-3、輪列にAO-2を注油。

これが自動巻きモジュールの裏側。各ゼンマイをばらして汚れを拭き取り注油。

清掃前のアップ!


んで組み直して表側おしまい。

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あと、針が下端まで降りてから跳ね上がるタイミングが、分針と時針がズレてたのと、インデックスから微妙にずれてたのを治すべく文字盤裏をメンテナンス。文字盤は側面の二つのネジで止められている。

以下は日の裏の画像であるが、これだけ見て、どこがどうなってるかわかる人はなかなかいないだろう。笑。
中央上部の鳥のくちばしが円盤を突いているような部品がお気に入りである。


二つのレトログラード針がピキっと同時に跳ね上がるよう合わせるのは、非常に根気のいる作業。微調整に次ぐ微調整....

終わったら文字盤を付け直してテスト。

長針が、12まで降りたらキッカリ0まで跳ね上がって戻るのを確認。これもかなり難儀な作業だ。調整が甘いと、文字盤を外して、跳ね上げ機構の歯車の組み直しが必要になる。
なお、このモデルは分針が時針の下に取り付けられる。普通と逆。


んでひとしきりケースやら風防やらきれいにして、実用。

かっこよすぎる!

この、左側面の光沢仕上げの面がかっこよすぎなんである。この重厚感、ゴージャス感。いったい誰がデザインしたんだろう???



以上、レアかつマニアックな愛用品のご紹介でした。

シャツとクロノグラフはまじで良い

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持説である。

クロノグラフの、縦に積算計が並んでいるタイプは、針が縦一直線に揃っているため、シャツの袖のラインと合うので見た目が綺麗。


ほんとは、カフスの色や柄と合わせたらもっときれいなんやけども。



積算計が並んでなくても、クロノグラフ針が縦に固定されているのできれいには見える。


長袖シャツばかり着ている人は、ぜひクロノグラフを身につけましょう。キリッとして仕事ができると思われる事うけあい。


多分。

とても嬉しい Sinn 256ッッ!復ッ活ッッッッゥゥ~~~~ゥゥ!!!

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いやーーーー


届いたわけです。ETA7750のヘアスプリング。・・と、天芯と振り座とテンプの、いわゆるテンプ一式というやつが。


色々見たのだが、日本で買うと大体14000円プラスαくらいする。うーん、自分で壊しておいてなんだが、たかがテンプとヒゲゼンマイにそれは高ェなぁ…と思っていたのだが、カナダの業者で送料込み72USDで買える所を発見し、それでも二週間くらい迷っていた。

しかしある日、ガラ箱の中で寂しそうにしているSinn 256を見て、こんなカッコイイ時計をゴミと一緒に置いておくなんて…と罪悪感にさいなまれ、思い切って注文。

そして届いたのが冒頭の小包であった。正直、トラッキングナンバーがないためヒヤヒヤであったが、かなり迅速に到着してくれて嬉しい。

中身。
これだけやと分かりにくいが、メッチャメチャ小さい。この赤い容器の直系は小指ほど。
自分で頼んでおきながら、壊さずに取り付ける自信ないなぁ・・・と少し弱気になった。

が、そうもいってられないので、 


早速…
 


いざ、尋常に!

蓋開けて…



壊れたヒゲゼンマイを取り出す。

悲惨であるw


これが新しいやつ。

…あまりに違いすぎる。これ、上の画像のほうは針金を直そうとして三時間くらい格闘した上で、このボロボロの状態なのだが、新品は当然ながらとても綺麗で整っている。輪の間隔ものすごく綺麗である。この曲線のことを、アルキメデス曲線という、らしい。
 
やっぱヒゲゼンマイは一度曲げたらもうダメなんだと諦めるのが肝心だと思いました。


さて、
これがテンプ受けの裏側。
 

洗浄機がないので、普通にこのまま使う。ホゾ穴を気持ちゴシゴシこすって、油をさしていざテンプ一式を受けにはめ込む。
えいっ!


…あれ?なんかうまいこといってるぞ?!


なんと、受けから出ているスタッドラーというフォーク状の隙間に、奇跡的にうまくヒゲモチが入り込んでくれたのであった。ドライバーだとズレそうで怖かったので、バンドを外したりするときに使うばね棒外しを使って押し込んだのだ。これが大正解だった。
 

緩急針(図中の右にある金色の部分)の口の形がかわっていて、それをマチ針でつつきながら修正しつついれたのだが、意外とすんなりヒゲゼンマイが収まってくれた。。。以下の写真で、見事に緩急針をヒゲゼンマイが通っているのがわかる。

いい感じだ!


本当は、この隙間に入れた後に、ちゃんとツラを揃えるため、上(つまり、ヒゲモチの面と受けの面のうわっつらをそろえる)に押し込んでいる。ここが一番緊張した。失敗したら受けを破壊して、取り返しのつかない損失になる。ピンセットでスタッドラー二本を同時に押し込み、ヒゲモチがパチっと音がするまで押し込んだ。本当に冷や汗ものであった。

さて、テンプ受けにうまく新しいテンプが収まってくれて…これ以上なく安心しているのだが、この時計にはもひとつ不具合がある。12時間積算計が、クロノグラフを動かしてもないのに勝手に動くのである。こういうのをスリップと言うらしい。


別に実用に弊害はないのだが、これが動くと、時計の中心の縦のラインが崩れるので、かっこ悪い。クロノグラフの針外すのなんて怖すぎて嫌だったので治さなかったのだが、今の僕なら直せそうな気がする。ので、やっちゃうことにした。こういう勢いに乗っているときは、大きなミスをしがちなので読者の皆様は注意されたし。。。


調べてみると、ETA7750の12時間積算計の中はこうなってるらしい。なんとなーく、部品がズレてブレーキが効かなくなってるのかな?と思われたので、取り敢えず開けてみる。
時計三昧のサイトより


クロノグラフ針、長針、短針を外す。クロノグラフ針を外す時はピキっ!!っていう音がして、ホゾを折ったと思って真っ青になった。変な声出た。
が、どうやらあまりにキツく入ってたからみたいで、何度も調べたが普通に抜けてくれていた。ホンマ冷や汗かいた。おそらく、これまでメンテナンスされておらず、初めて針を外したのであろう。積算計の針とかも同じようなピキィっ!とかいう心臓に非常に悪い音がした。
 
それだけキツくはめてあるということは、ほんとしっかり作ってあるんだなぁ、と、感心。というのも、クロノグラフでリセットによりゼロ帰針する部分は、急な回転に耐えるためきつく固定される必要があるのである。SEIKOのクロノとかだと、ホゾの形が真円でなかったりする。
針をはずす時は必ずサランラップをかける!!これを発見してから、針の扱いがものすごく楽になった。というか、サランラップを発見していないと、絶対にクロノを分解しようという気にはならなかった。


文字盤の外し方で二十分悩んだ。そしてググった。このツメを取り出して固定を解除するらしい。すごっ!!!ねじもいらないし超簡単。



文字盤を外したところ。
ドイツ語カレンダーがまた、渋い!!良い。ちなみにドイツ語の曜日は以下のとおり。
 日曜始まりでSON、 MON、 DIE、 MIT、 DON、 FRE、 SAM。


日付やデイト部分はモジュールになっているので、取り外す。すると、以下の様になる。


12時間積算計は…



ここだ!!

おやぁー?なんか針金が遊んでいる…これは、そりゃダメだよなー。
ネットで7750の組み立て、整備マニュアルを読んだら、ここの正しい組み方がちゃんと載っていた。


ただしくはこうだ!!

ちなみに、逆V字の白い部品はプラスチックでできており、これが左側の歯車の歯を固定してストップさせている仕組み、らしい。・・・こ・・・こんなのでよいのか・・・!?


戸惑いつつも、曜日・日付モジュールをかぶせる。ねじ三つで固定される。すっごいシンプル。


文字盤まで一気にかぶせる。例の金色の爪を押し込めば、文字盤が固定される。すばらしい。。。




例によってロディコとサランラップを活用し針を取り付ける。針や文字盤に触らず綺麗に取り付けられる。
他のブログでサランラップを使用しているのを見たことがないのだが、あまり良くないのだろうか?ラップについている成分が文字盤や針に悪かったりするのだろうか。無いよう祈る。 

さて・・・いよいよ・・・・


テンプの取り付けである。本当にちゃんと動くのかドキドキである。


仮取り付け。これでホゾ穴にちゃんとはまってるかどうか、何度も何度もおかしいくらい入念にチェック。



ピンセットでつつきつつ位置調整・・・・


すると・・・・ 



動いた!!!!動いたよ!!


やったー。なんと奇跡的にテンプは元気に振れてくれた。こんな嬉しいことはない。
夜中一人でガッツポーズを決めた。


・・・実は、リューズを引いた状態だったのでハック(秒針規制)がきいていて、何度つついてもテンプが動いてくれないのでかなり凹んでいたのだが・・・気づいて、慌ててリューズを押し込んだら、あっさりと動いてくれたのだった。


何度も何度も確認しながら、少しずつ受けをねじ止めしていく。完全にねじが閉まりきってもまだテンプが振れているのを見ると・・・嬉しくて嬉しくてたまらないのであった。
 

そそくさとびぶ朗を取り出し、歩度を確認する。

なるほど。・・・・ヒゲモチを動かし、横の線が二重にならないよう気をつける。


その後、緩急針を動かし、徐々に精度を追い込んでいく・・・・。下の画像がわかりやすい。上に向かっていく横の線の角度がだんだん無くなっていくのがわかるだろうか、これは進み気味から徐々に適正な歩度に向かっていっているのである。最後は横線が水平になるまで追い込む。



そして、スクリューバックの裏蓋をねじ込んでいく。。。パッキンがボロボロになったのを取り出して以来つけていないので、どこかで調達してくる必要がある。どこでも買えるもんなんだろうか・・・??どうやって買おうか・・・ 
なにはともあれ、 

完成!!!!!



腕に早速巻いてみる。よい!!!! よいではないか!!

きっとこれからさんざん愛用するのであろう。自分で治した時計というのは愛着もひとしお。
 


…以上、飛び上がるくらい嬉しい、Sinn 256復活のお話でした。


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