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2018年05月

Synchronar 2100の日本語表記は、「シンクローナ」で確定しました

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先日、以下のような記事をアップした。世界初のソーラー充電時計、Synchronar2100を日本語で表記するとき、どのように書くのが正しいのかというのを考察したエントリである。


結論として、公式にもっとも近い人物の発音を聞く事ができる当時のCM(以下参照)の発声を基に、「シンクロナー」としたのであった。



が!


衝撃的な事実が判明してしまった。


なんとSynchronar 2100は一度日本で正式に輸入され発表されたことがあるらしく、当時すでに日本語表記がなされていたのであった…!!


僕が、そして他の多くの人たちがこのSynchronar 2100を知るきっかけになったであろうWebサイト、“UT Design”にてそのチラシが公開されているので、画像を拝借してここに紹介したいと思う。

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なんと、一新時計株式会社により国内販売された際、「シンクローナ」として売り出されているではないか!!

衝撃的なのはそのフルネーム。「光電腕時計シンクローナ”タイムカプセル”」である。

タイムカプセルという名前は初めて聞いたのでおそらく一新時計のオリジナルコピーなのであろう、あるいはシンクローナよりもタイムカプセルという名前で売り出したかったのかも…と思ったが、ダブルクォーテーションで括られている事から、この”タイムカプセル”はあくまで様子や雰囲気を表す修飾的キーワード、即ちフレーバーテキストのような意味で書いたのだろうと僕は解釈した。

”光電腕時計”の部分も、ソーラー発電の機能説明に未来的な造語を用いたものだろう。

つまりは、やはり「シンクローナ」である。

僕のこれまでの言説は誤りであり、日本語表記は「シンクローナ」で決まり、ということにしたい。

事の重要性

日本語表記がそんなに大事か?と思う人もいるかもしれないが、これは愚問である。大事に決まっている。

我々日本人という民族が、このスペーシーな時計が米国で販売されている事に目をつけ、日本に輸入して販売していた・・・という事実は、大変重い。

なぜ重いかというと、当時からこのような慧眼を持った企業が時計の代理店をしていたということ、そしてその頃から日本の時計市場は世界に開けていて、多様性を有していた事の証左であるからだ。

そして、これは何でもそうだが、最も尊敬されるべきは最初の挑戦者、最初の成功者だ。

メジャーリーグに渡った大谷選手が、足許日本のみならずアメリカでも大きな称賛を持って語られるのはなぜか?それは、(はるか昔に前例があったにせよ)彼と彼のチームの関係者達が、誰もしたことがない事に挑戦し続けているから、である。

でも、「CMだと明らかにシンクロナーって言ってるから、シンクロナーでいいんじゃないの?」 … という向きもおられるだろう。

ダメなのだ、それでは。

最初に日本語で表現した人がシンクローナと書いていたら、例え作った本人がシンクロナーと発音してようが、サインカロゥとか発音してようが、日本語での表記はシンクローナとなるべきだ。

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愛用のシンクローナ、ばっちり動作する

日本語表記の原作からの独立性

その昔 ー 今を遡る事54年、一枚の音楽アルバムが日本に紹介された。オリジナルアルバムのタイトルは、「A Hard Day’s Night」タフな1日、というような意味であった。が、日本ではどういう名前でリリースされたかご存知の方も多いであろう、

「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」

このタイトルは近年に至るまでファンの間に強く根付いており、愛されている。

むしろ、英語を微妙にヒネッていてノンネイティブには少々分かりにくいオリジナルのタイトルより、日本人の感覚に根ざしていて愛着が持てる。



よって、いかに違和感があろうと、例え誤りであろうと、最初に日本語表記した方に敬意を評し、Synchronar 2100はシンクローナという呼び方で確定する。
2100の表記も見当たらないが、これも問題ない。日本語で発音するとやや語呂の悪さが否めない。

販売元への敬意

思うに、当時は当然Youtubeは無いし、メールもビデオも無かった。おそらくは一新時計の担当者が直接、あるいは電話なりで間接的にシンクローナの販売元とコンタクトし、契約条件等取りまとめていたはずだ。

今のように電子メールやWebで画像や文書のやりとりもできず、 どのように上司を説得し、販売店に声をかけ、仕入れ先と調整を進めたのか。相当な粘り強さを持って進められたであろうことは想像に難くない。

当時の一新時計株式会社のご担当者の方に敬意を表すと共に、改めてこういった素晴らしい時計が販売されるほどに成長していた、当時の日本の腕時計市場に驚きを禁じ得ない。

この時代でお値段288,000円というロレックス越えの超高価格でどれくらい売れたのか、誰が買ったのか…などと興味は尽きないものの、それは下衆の勘繰りというものなのだろう。




以上、シンクローナの日本語表記が確定した話でしたとさ。

時間あるときに過去のエントリを書きかえよう・・・・





ビンテージ時計を巻くときに気をつけるべき事

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このブログの読者には、ビンテージ時計の愛好家もいれば、まだ持ってないけどいつかは欲しいなあというような方もいらっしゃる事であろう。

ここに、さらなるビンテージ時計界の発展と普及を願い、ビンテージ時計を使用する際の注意点について書いていきたい。

なお、内容は僕の独断と偏見であり、なんらの補償がなされるものではない旨、ご理解くださいませ。

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上品さ、シンプルさはビンテージ時計の大きな魅力の一つ




1、腕に巻いて歩かない。

え?時計なのに?と思うかもしれない。はい、時計なのに。腕に。巻いて。歩かないで下さい。これ基本。

ビンテージ時計は時計であると同時に、絵画のような芸術品である。一点ものか工業製品かの違いはあれど、希少である事には変わりなし。身につけて移動するという実用には向いていない事は間違いない。

もちろん、家・店・オフィスの中だけとか、ちょっと飯くいにいくだけとか、そういうのは問題ない。長距離を歩いたり人混みを避けられないときは、巻いて歩くべきではないというお話。

※「ビンテージ時計を巻く時に気をつけるべきこと」というタイトルのエントリにも関わらずいきなり巻くなというのは逆説的である…が、「時計を巻く」というのは「時計を使用する」くらいのニュアンスで使ってるものとご理解くだされば幸い。

2、絶対に濡らさない。水に近づけない!

これは現行時計でもそうだと思うのだが、ビンテージの場合は桁違いにお気をつけください。

たとえば、トイレの部屋に入る前に外し、トイレの部屋から出た時にまたつけるというのは基本中の基本。歯磨き、手洗いの際にも必ず外すように。目に見えない飛沫がかかって、錆や汚れの原因になり、ビンテージ時計の場合はこれが文字盤、針にダメージを与え、命取りになる可能性がある。

3、衝撃は徹底的に避ける。拍手とかもダメ、スポーツなんて論外。

ちょくちょく書いてるが、ゴルフでロレックスを巻いてるおじさま・おねーさまは厳に慎んで頂きたく。

スポーツはやる時だけではなく、観戦時の着用厳禁。観戦時は手元の注意がおろそかになるだけでなく、手を振ったり拍手をしたりと時計に過大な負担と不慮の事故などのリスクを強いる事となる。

同じ理由で、派手目なコンサートなどでの着用もおススメできない。

4、紫外線に曝さない

これについて書いている記事があまりなくて僕は常々、とても不思議に思っているのだが、紫外線というのは大変凶悪な性質をもっていて、とにかく物の性質を変えてしまう。

ビンテージ時計では、文字盤の変色、変質などこの紫外線によるものが結構多いのでは?

したがって、時計への紫外線被曝を抑えるフィルム、あるいはクリームのようなものがあれば爆売れすると思うのだが、不思議とそんなものが存在しない。ほんとに不思議。なぜ??結構探したけど無かったので知ってる人がいたら教えてください。

つーか、風防がUVカット機能を持って然るべきである、と言いたい。

5、絶対に信頼できる!!という業者以外には絶対に預けない。

これもとっても大事。時計屋さんだからといって、あるいは大きなお店だからといって大切なビンテージ時計を無思慮に預けるなぞ自殺行為に等しい。誰がどう触るか分からない。

僕はまだあんまり慣れてない頃、大切なジャガールクルトのメモボックスを時計屋に持っていき、開けられたことがある。この時、僕の目の前で、オープナーがすべって思いっきりすり傷が入った!!

「は???」と思い慌てて時計を取り返したが時すでに遅し。

あなたにとっての宝物は、大体は他人にとってはただの古臭いモノなので、思ったより適当に扱われます。

今はSNSで幅広く時計職人の情報を集められるし、なんだったらコミュニケーションだって取れてしまう。アナログに電話をかけて話をするだけでもある程度情報がわかる。信頼できる時計職人ときっちりコミュニケーションを取って、作業スコープを明確化し、預けるようにしましょう。結局は、人。

6、人に貸さない

これもある意味当たり前だが、人に貸さない事。貸すときは、最悪貸した5秒後に10mの崖から落としても別にいいと思える人、思える時計のみ貸す事。

7、いつでも動かなくなる覚悟をしておく

人との出会いと同じく、ビンテージ時計は一期一会。同じ個体には二度と出会える事はなく、また、いつか別れはやってくるもの。

30年、40年もののビンテージとなると、犬の年齢に例えるともはや17、18歳に匹敵するほどのか弱さである。
いつ動かなくなっても仕方ないと思い、心の底から時計を慈しんで欲しい。

8、常日頃から替えの部品を探し、スタンバイさせておく

とはいえ飼い犬とは違って、替わりの部品が見つかったり、別作させたりしたらまた動き出すのが時計のスゴイところ。

ETAやバルジューなどのメジャーどころはある程度部品が流通しているので、きになる部品はストックしておくことをお勧めする。

僕も愛用のWittnauer Futuramaが壊れたとき用にムーブをまるごとストックしている。

9、他人に触れられない所に保管しておく、温湿度は安定させ、ドライボックスに保存する、あるいはジップロックとシリカゲルで保存する。

これは貴金属に関して当然と言えるが、湿度を気にする必要がある点で時計はデリケートである。文字盤などの見た目にはもちろん、機械の精度やメンテナンス要否などに影響する。

おすすめは、カメラと同じように、ドライボックスに入れて保管する事。ドライボックスなど昼飯の値段で買える。十数倍する高級な時計ケースより、湿度管理ができるという点で大いに有意であるといえよう。



難しいなら、ジップロックにシリカゲルと共に封入して保存してもよい。これは長期保存に適している。

10、腕に巻いて運転しない。電車にも乗らない。

これめっちゃ大事。

車は密室であり、また、至る所に至るものがある。運転は動作を伴うため、その動作の際に腕を物にぶつけたり擦ったりすることがある。かつ、当然意識は運転に向いているため、腕時計など気にしていられない。

個人的見解だが、運転時に使用するかどうかで時計の状態は大きく変わると思っている。

同じく、電車も危険。つり革、支柱、他人のカバンや腕、あらゆるところにぶつける要素が潜んでいる。電車に乗る際にビンテージ時計や傷をつけたくない時計を巻くのは、心の底から止めとけと言いたい。

…一度失敗したらこんなことは常識なのだが、一度でも失敗させないためにあえて、あるいは諸兄がお忘れだといけないと思い書いている所存でございます。

11、何かの際にスマートにすぐにポケットにしまえるよう、どれか一つのポケットは必ず空けておく。

1から10までを守って時計を着脱していても、時計を仕舞ったポケットに小銭や鍵が入ってた、などというのでは本末転倒、言語道断。スマホなんて磁力を持つからさらにありえない。

普段から、落ちにくいポケットを意識してカラにする様心がけるべし。

12、ムーブメントの型番がわかるなら、ググって整備マニュアルなどを探し、紙保存。

ある程度メジャーなムーブメントなら、だいたいWeb上にムーブメントのメンテナンスマニュアルが載っているものである。

もし所有している時計のムーブメントがわかるのであれば、その型番とpdfとかのワードでググって、マニュアルをダウンロードしておこう。機械への愛着が高まると同時に、万一の際にメンテナンスが必要になっても、マニュアルとセットで時計店に持ち込めば、店の人も分かり易いし、「こいつできるな」と思われて舐めた対応がされにくい、、、であろう、多分…。





では、楽しいビンテージ時計ライフを!


※尚、オートワインダーについては意見の分かれるところなので特に言及していないが、個人的見解では、ビンテージ時計に使用するのはオススメしない。理由は、オイルの劣化よりも常に巻かれた状態で駆動するほうが機械系への負担と故障のリスクが高まるのではないかと思われる為。反論は受け付ける。





SEIKO BELL-MATICにNATOストラップ、平成の終わりに昭和を偲ぶ

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僕のお気に入りの時計である、SEIKO BELLーMATIC。国産アラーム時計としてロングセラーとなったモデルである。

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これを新品で買って、ばりばり仕事していた世代というのは、、、いまどれくらいだろう、60から70代であろうか?

日本の高度経済成長をささえた歴史あるモデルといえよう。
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普段は20mm革ベルトを付けているのだが、こないだ直して動かしているYEMA Meangrafに使うため強奪したので、暫定的にNATOストラップをつけてみている。

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映画007でジェームス・ボンドがつかっていた黒×灰で、ボンドカラーなどと言われている。

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まるで現代中国のように急速に国民所得が増加し、GNPが鰻登りに伸びていったあの時代…日本国民が豊かになっていったあの昭和を偲ぶ。

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この時計も最後にオーバーホールしたのはいつだろう、5年はたってる気がする・・・。人の時計ばっかじゃなく自分の時計もオーバーホールしないとなあw

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相変わらず視認性バツグンのベルマチック、新社会人となりどんな時計を買おうか迷ってる人達に強烈にオススメしたい。

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カレンダーの変わり目で曜日が見切れてる…しまった…

ヤフ某クや某bayなどのオークションなら、2、3万でかなり程度のいいものが買えるので財布にも優しい。一ヶ月飲み会を我慢すれば手が届く。僕は品質に比べてこの相場は安すぎる、と常々思っているのだが…。

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もはや平成も残すところあと僅か、

不幸にして物心ついてからも不景気しか知らず、車も家も欲しがる気力もない、モノも要らない、スキーも温泉旅行もいかない、…ハードディスクの容量にこそ心の豊かさを求めるそこのあなたに、是非オススメしたい一本です。










YEMA Meangraf(ジャンク)動いてくれた〜😂👍

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先日入手した、ジャンクのYEMA Meangraf。

とりあえずものっすごーーーく汚いので、少しきれいにしてやろうとバラして見る。

ベゼルを抉って外したところ。灰色の粉が飛び散る。(この画像はすでに風防交換済みなので少し綺麗に見える…)
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経験上、ここまで汚れて動かない時計というのは、じつは整備してやればちゃんと動くというものが多い。

前にやったジャガールクルトのMemovoxでもそうだったのだが、古い油がかたまってたり、ホコリやクズが機械に入り込んでたりして止まってて、じつは歯車などの各部品は無事であるということが少なく無いのであった。

なので、下心として、一度バラして組み直せばまた動くんじゃないか・・・という気持ちがあった。


さて、裏蓋を開ける。正多角形の形の裏蓋はあけにくいのだが、すんなりあいてくれてよかった。そのうちこれに合うオープナーを探しに行こうと思っている。

リューズを引き抜けば、ムーブメントはスペーサーごとすぽっと外れる。ケースに見える黒い輪っかは、パッキンが腐ったもので粉々になっている。経験上、10年やそこらではここまで劣化しない。
20-30年は放置されてただろうなぁ。
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シンプルな三針時計、ほんとうにシンプル。あえて他の時計と違うところをあげるとすれば、インナーベゼルが風防の中にはめこまれていること、くらいであろうか?

ムーブは綺麗であった。これも、長らく放置されてきた時計に見られる特徴である。
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秒針を外し、裏返してテンプを外す。勢いでアンクル受け、アンクル、輪列受けも外す。ギアのほぞは油が汚れ、黒ずんでいる。
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さて、分解については、このしょうもないBLOGを読んでくれたある時計師の方から駆動系から息の根を止めるのがセオリーと教わったので、カレンダー側に向かわず一気に輪列をばらすことにする。

この時計、じつは少しゼンマイをまいてもそのまま空回りするというような事象があった。そこから危惧していたのはガンギ車、あるいはアンクル破損である。いずれも壊れやすい部品であり、換えを見つけるのが非常に難しい。

アンクルを取り外してみても、特に破損は見当たらない、、、ガンギ車をみても同様。少しほっとした。
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四番車をピンセットでつついてみてもスムーズに回らないので、なんでだろうと思いつつばらしていく。

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香箱抑えを外し香箱の様子を見る。うーん、特に問題はなさそう。。なのでとりあえずそのまま組み上げることにする。

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ところが、香箱の受けを取り付けて二番車を軽くつついて回してみても、硬くて回らない。おお?!と思いまた一度外し、調整を試みるが同じ。

なんでだろうと思い、上の画像の香箱受けを掃除してみてはめ直すと…いけた!!

おそらく油の塊かサビ、あるいは鉄くずか何かが詰まってたんだと思うが、どうであろう。とりあえずそのまま組み上げると元気にテンプが振れてくれたので一安心…

お次はボロボロのケース。
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ベゼルはこんな感じ。触っただけで汚れが噴き出てくる…ドライバーでこそぎ落とす。
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プリント面へのダメージを考え、ベゼルの水洗いは避ける。

ケースは、パッキンの残骸をドライバーでほじくりつつ、キレイキレイで水洗い。さらにはベンジンで擦ってクリーニング。
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ピッカピカ!!

このパッキンの残骸を処理するのが大変であった…ミゾを爪楊枝とかで擦って、黒いカスを一掃する。

気になったのは、スペーサーから出たと思われる緑錆が付着していたことである。これが不動の原因になったとかかもしれないなぁ。
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あと写真がないが、リューズの芯周りのパッキンのカスを取り除くのが大変だった。針で突いて柔らかくして、爪楊枝を削って刮ぎながらベンジンで拭き取る作業を延々と続け、ようやく綺麗になった…


乾いたら、試運転してたムーブを入れる。スペーサーは金属で出来ていて質感が高く、好印象!
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この通り、ピッカピカ!!
取り敢えず試運転ということでしばらく使って見て、タイミングを見てオーバーホールしようっと。
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風防は新品を購入。インナーベゼルとケース双方に合わせる必要があり、しかもインナーベゼルの視認性を阻害しないようにドーム型ではなく平べったいタイプの風防を取り付けるべし!

いやー三針でもほんとカッコ良い。レーシングダイアルというらしいが、Meangraf Superに負けず迫力がある。インナーベゼルと回転ベゼルがとてもいい雰囲気を醸し出してて、用もないのにベゼルを回してしまうw

四時位置リューズもカッコ良い。
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以上、YEMA Meangrafが動いてくれたお話でしたとさ。
































































YEMA Meangraf (Superではない)ゲトー!でもジャンク。

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僕はYEMA Meangraf Superというビンテージなクロノグラフを愛する者であるが、実は手巻き三針時計バージョンである普通の”Meangraf”もかなり気になっていたのであった。

んで、いつか某Bayでボロッボロの不動の個体を安くゲットして、そのうち部品取りの個体をみつけて直そうと考えていたのだが、この度実行に移してみた。

手に入れたのはこちら。
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風防の傷はまあよいのだが、ベゼルはハゲハゲ、インナーベゼルは黄ばんでいてケースも傷、汚れだらけ。リューズはどす黒い油?か何かがつまっていて碌に回らない。引き抜くのも一苦労。

当然のように時刻合わせもできず、ゼンマイを巻くこともできないポンコツである。

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期待が持てる点としては、売ってる人は「輪列さえちゃんと整備すればまだ動くのでは」と言っていた事。

あわよくばオーバーホールして動いてはくれないかなぁ・・と思いつつ購入、ま、最悪でもギアを全部とりかえりゃ動くであろうという感じであった。
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文字盤は、僕の愛するレーシングデザイン。Meangraf Superとどっちが先にできたのかは知らないが、赤い帯は完全に同じ。ちなみに、インナーベゼルもまったく同じ。

チェッカーフラグ柄の楕円の中には、YEMAのロゴであるYの字がプリントされたやつとされてないやつがあるのもMeangraf superと同じ。僕はされているほうが好きであるが、まぁよかろう。

ちなMeangraf Superはこれ。カッコよすぎる!ルパン三世が1stアニメ第一話で腕に巻いていたことで(一部の人々に)つとに有名であり、海外のYEMAマニアでもあんまり持ってないレア時計。
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さて、上の画像を見てもお分かりいただける通りであるが、Meangraf Superでインナーベゼルの黒”▲”が常に九時にあるのが昔からすごい不思議だった。

しかしMeangrafを手に入れて思うに、たぶんではあるが、デザイン上、赤い帯の部分が収束する九時位置に置いていたのを、特になにも考えずにクロノグラフ版であるMeangraf Superを作った際にもそのままにしてただけではないだろうか??

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真相は誰も知らない。


あと裏蓋はこんなん。スクリューバック式。しかも、穴が開いているタイプではなく多角形のタイプ。
これ、開けにくくて嫌いである。しかもMeangraf Superとは径が違うのが地味に腹が立つ。少し小さい。

でも、裏にETANCHE 100%ってかかれてるのは同じ。
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状態はとても悪くても、デザインはめっちゃめちゃカッコよい!!!ホントは秒針はMeangraf Superのクロノ針と同じオレンジの細長い三角形のタイプが良かったのだがまあ仕方なかろう。この赤の細い針のタイプもこれはこれでよい。

ベゼルがハゲまくってるのがまあいうなれば少し残念かなあ、しかしこれはこれでビンテージ時計らしくて良い。当然ながら、ケースに固着していて殆ど回らない。本来はこれは細いスプリングが一本だけはいっていて、両方に回るのである。
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今のままでは完全にオブジェ。まったく使えないし動かない。


気が向いたらばらして様子をみてみようー











青文字盤が美しいホイヤーの分解掃除 その5

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洗浄、すすぎ、乾燥を終えて組み立てに移る。乾かすのが時間かかってめんどいんだよなぁ、乾燥機とかあればいいのになぁ…

地板。
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香箱はゼンマイを取り出して洗う勇気がないので、よほど汚れてなければグリーシングと注油で済ます。たぶん新しいのに変えてもそんなに高くないはず…
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日の裏側から組み上げる。毎度のことながら、こちら側はひやひやする。

組み上げたらリューズを回してきちんとキチ車がツヅミ車と噛み合って空回りせず回ること、一段引いてカレンダー送りが無事動くこと、さらに一番引いた状態で日の裏車やツツカナ車がきちんと回ることを確認する。
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続いて香箱抑えのブリッジの組み立てに入る。細いバネがあるのでやりにくい。じつはこのバネで弾いて1つ歯車を飛ばして焦ってしまった。

よいこのみんなは、先にバネを置かずに、ギアを設置して抑えをねじ止めしてから滑り込ませるように細いバネを入れ込みましょう。

このバネは、香箱の逆回転を抑止する、いわゆるこはぜバネの機構である。歯車にきちんと噛んでいるかチェック。

この画像の様にこはぜバネをさきに仕込んではならない。前々から思うことだが、こういうスプリングは往々にしてさきに抑えを取り付けてから滑り込ませる方が安全、確実に取り付けられる。
マニュアル読んでもこんな事書いてないんだよなー、常識すぎるという事なのだろうか?
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ネジ小さい…


ドライバーの先端を完璧に研いで磨いておかないと、ネジがぐらついたり傷つけたりしてしまう。これは抑えを置いていまからねじ止めする所。
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香箱を取り付け、ブリッジをつける。マニュアルを見ながら注油箇所には日本が誇る時計油であるAO-03を注油。ちなみに僕は日の裏側や切り替え機構も軒並みAO-03である。香箱の内側外周にもAO-03を置くように注油する。

じつは香箱を開けた時にしっかり締め切っておらず、少し浮いていたためブリッジをしっかり閉めたあと香箱がうまく回らなかった。
これで20分くらい悩んだ。

みなさん、香箱を開けたらしっかり閉めるようにしましょう💫

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後は輪列の取り付け。日本が誇る時計用オイル、AO-02を石に注油しながら取り付けていく。
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この時、いつも頭によぎるのは抑えの取り付けを失敗して、ガンギのほぞを折った苦い経験である。あの時の悔しさは二度と味わうまいと、最高に注意深く取り付けていく。

ガンギ車まで取り付け終わったら、ザラ回しと言ってリューズを回して少しだけトルクをかけ、輪列が回るか確認する。

ヒューンヒューンと良い音がすると気持ちいい!!…しかしトルクのかけすぎと回しすぎは厳禁。スムーズに回るか確認したら必要以上に回さないこと。
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ザラ回しで異常無しであればアンクルを取り付ける。アンクルをつけたらもうザラ回し出来ず、トルクが溜まっていくだけなのでリューズを回さないようにしましょう。
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最後にテンプを取り付けて、元気に動き出したらオーケー!何度やっても、この瞬間は感動してしまう。時計の神秘を感じる瞬間だ。
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元気に動くことを確認したら一旦トルクを解放して止め、テンプの受け石に注油していく。

耐震装置をピンセットで挟んで外し、ハンバーガーの蓋のように穴石にかぶさっている受け石をロディコで吸着して外し、ロディコで汚れを取って、AO-02を注油してまた蓋を閉め耐震装置で固定する。部品が小さすぎるので一息でやるのがポイント。

下の写真は耐震装置を外したところ。画像加工とかできないためとても分かりにくくて申し訳ない…画面中央、パカっと蓋のように耐震装置が開いてるのが見えるだろうか?
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地板の裏側も同じようにヨゴレ取り、注油をする。右下に写ってるのが耐震装置である。
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…ひとまず動くところまで組めて一安心。



その6へつづーく。




















青文字盤が美しいホイヤーの分解掃除 その4

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ETA2892A2の分解掃除続き。

個人的に苦手とする自動巻機構の裏側をバラす。

じつはこの自動巻機構、スムーズでなく、回す時に少し擦れるような引っかかりを感じていた。

歯車が錆びているか、ローターのボールベアリング部分が劣化しているかどちらかだろうと思っていたのだが、とくに錆びは目視できないので、この感じだとボールベアリングかなぁ。

異物が挟まってるだけかもしれないので、とりあえず超音波洗浄で様子を見てみよう。

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裏側から3つのネジで、まずはローターを取り外す。金ピカできれいなローターなので、傷つけないよう慎重に…
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受けを外す。相変わらず、小さいネジや歯車が多いため苦手である。⚙
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外し終わった。
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下の写真は切り替え機構の部品。

僕が機械式時計に感動するポイントの1つに、この切り替え機構というものがある。

切り替え機構とは、リューズを回してゼンマイを巻き上げたり、一段引いてカレンダーを合わせたり、さらに一段引いて時刻合わせをしたりと、リューズの役割を切り替えるための機構を言う。

めいめい好き勝手な形状をしているように見えるのだが、じつはその全てに意味があり、それぞれは”この形でないと機能しない”という絶対性を持っている。

バラしたり、特に組み上げたりするたび、畏敬の念を抱かざるを得ない。
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こちらはカレンダー機構。当然ではあるが、カレンダーディスクは超音波洗浄機にかけてはならない。多分文字とか塗装が剥がれまくります。
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洗浄する前に、全ての部品の位置をこうして写真に撮っておく。どこに置いているネジと組み合わせるかを忘れないための措置。自身の記憶力の悪さ対策である。

かつてはこいうのは都度スケッチしたと聞いたことがある。気軽に写真を撮って見返せる、良い時代になったものです。

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その5へつづーく。


※…iPhoneがまだおかしくて、写真を撮って保存するということが出来ない。なので、記事に書くときはlivedoorアプリの機能で写真を撮ってから直接貼り付ける必要がある。ので、このような細切れなエントリになるのであった。不便なことこの上なし。

パソコンにバックアップしてから初期化しようと思っても、バックアップが失敗するという始末…iTunesとiOS、相変わらず自由度が低いくせに質が悪い…













青文字盤が美しいホイヤーの分解掃除 その3

カテゴリ:
さて、日の裏をバラしていく。

時計は、外側と中身のムーブメントで裏表が異なる。時計として存在する時はこの面はオモテだが、中身になった瞬間この面は裏になる。不思議だなぁ。

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日の裏をバラす前に、テンプを取り外す。作業中、テンプに工具や指が触れて壊さないようにするための措置だが、一般的な手順なのかどうかはわからない…

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カレンダー抑えは全部で三箇所。
まずは巻き上げ機構のオサエにもなっている、リューズ近くのとこを取り外す。写真の右側あたり。
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次に下側のオサエの1つを外す。ネジ1つで止まってるだけ。
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最後に、カレンダー抑えはのスプリングや送り車を抑えている部分を外す。

カレンダー周りはいつもスプリングを飛ばしやしないかとヒヤヒヤするのであるが、この機械、ETA2892A2はカレンダー抑えに一体化して平べったいスプリングがつているのでその心配がない。素晴らしい!
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カレンダーディスクを外す。
すると、巻き上げ機構が丸裸に…

この時点で写真を撮ることはとても大切で、部品の組み合わせや裏表をしっかり確認しながら、組み上げの時に迷わないよう写真に収めておく。
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歯車一個でも、取り外すたびに写真に収めることをお勧めする。

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全ての部品を取り外し、日の裏終了!
最後にツツカナを引き抜いておしまい。
細いスプリングがどこかに残ってないか、入念に確認する。

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裏返して…

輪列をバラす。

香箱の抑えや香箱を取り外す。
まずはブリッジから。

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すると大きめの金色に輝く香箱がお目見え。キレーだなぁ。

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香箱を取り外す。
残るはわずか…

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二番、三番、四番車、ガンギ車を取り外す。

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最後にアンクルの抑えとアンクルを取り外して終了!!

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影で見づらいが、自分の場合はバラした順に右上から並べる習性がある。
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ブリッジも忘れずに!

裏返すとこんな感じでパーツが付いている。

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この細いスプリングは、主ゼンマイのトルクを解放した時に抑えたコハゼ。丁寧にバラしてゆく。

余談ではあるが、組み上げの時はここの組み立てが一番難しかった…


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綺麗に掃除して注油しないとなあ。

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部品の並び、特にネジの組み合わせは入念に写真を撮る。

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巻き上げ機構。

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あとは部品を超音波洗浄機で専用洗剤で洗い、ゆすいで乾かしていく。

…その4へ続く!



やっぱ画像加工アップロード機能がないと大変不便です…ついでに加工機能もないので、気をつけるべきポイントとか、部品のスプリングの組み合わせとかを図示することができず、内容としてもイマイチ…livedoor blogがんばれ!





青文字盤が美しいホイヤーの分解掃除 その2

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ではバラしていこう…

まずはじめに時針が取り付けられていたツツ車をワッシャーごと持ち上げる。ワッシャーは向きに注意。反っている谷側が文字盤側になる。
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次に裏返す。
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自動巻ローターを外しにかかる。
これはブリッジを先に外すタイプ。黒い色のネジを外し、そーっと持ち上げる。
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持ち上げるとこのように外れる。自動巻機構は避けておく。
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外したところ。
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自動巻機構の裏側。
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また裏返して、輪列を外しにかかる。

先に忘れないようにハック(秒針規制、時刻合わせの時に秒針を止める仕組み)用のパーツを取り出しておく。下の画像にある金色のL字型の部品がそれである。避けておかないとぽろっと落ちて見失いやすい。
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そして主ゼンマイのトルクを解放する。これを忘れると色々部品を壊すことになる。素人愛好家にはお心当たりのある方もいらっしゃることだろう…

自身も然り😭


巻芯を挿し直して…、
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トルクを解放する時は、香箱の逆回転を抑えているパーツを探す。この時計の場合だと下に写ってる針金となる。これが香箱を逆回転しないよう歯止めをかける役割を果たしている。

ここを、リューズを捲き上げながらピンセットでそーっと浮かせると、そのままゼンマイが解けていくので、最初から最後までリューズをしっかり摘みながらゆっくりと巻き上げとは逆方向に回し、トルクを解いていく。
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その3へつづーく。

青文字盤が美しいホイヤーの分解掃除 その1

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Y氏より預かり、しばらく寝かせておいたホイヤーの自動巻きを整備しようと思わんとてするなり。


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パッキンが固着してめっちゃめちゃ固かった。卓上式の裏蓋オープナー、マジで欲しい…某bayとかで二万とかで売ってるやつ興味あるのだが、ちゃんと使えるのだろうか…

金色のローターがとてもカッコ良い!!裏蓋がシースルーでもないのに仕上げに気を遣っているところはとても好感が持てる。
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ムーブメントは安定のETA2892a2。慣れてる人なら暗闇の中で目隠し・耳栓をして、一時間以内に分解、組み上げできるムーブ。…というのは盛りすぎだが、それくらい普及している。


では、バラしにかかるか…
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リューズを抜くときは、かならずマイナスドライバーでここを軽く押しながら抜き取る。

針とかピンセットの先とかで押し込んでしまうと必ずオシドリがズレて、文字盤までバラし直しの憂き目に遭う。訓練されたしろうと時計愛好家ならこれはもはや常識…


…はよいのだが、


これ、、、
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スペーサー、プラスチックだった😭

僕は結構時計の良し悪しはこのスペーサーに出てくるという持論を展開しており、ここが金属でがっしりと作られていれば、例え無名でもしっかり作っているなァと感心するのだが、これは薄〜いプラスチック…。摘んだだけでグニュっと形が変わる。

溜息をつきながら持ち上げたのだが、ふと頭によぎったのは「あえてぺらぺらの柔らかいプラスチックをスペーサーとして使う事で、クッション性を持たせて中のムーブメントを保護する意図があるのでは?!」という事であった。だとしたら、さすがホイヤーと言わざるを得ない。多分違うけど。

裏返して取り出してみる。
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ブルーの文字盤がめちゃめちゃかっこいい!!

ガラス越しにみるより五倍くらい良い。持ち主のyさんに観てもらえないのが残念…
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さすがホイヤー、針も美しい。間違えても傷などつけぬ様、サランラップの上から丁寧に針を外す。

外した針はピンセットで摘むのではなく、ピンセットで摘んだロディコに吸着させてすぐにケースに格納する。

文字盤が時計の顔だとしたら、針は時計の目。くすみや傷をつけない様、気を遣って遣いすぎという事はない。

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画像がとても悪いのが申し訳ないが、本当に綺麗なブルーだ。インデックスの仕上げも美しい!夜光も美しい!!

こちらもいそいそと外し、すぐに保管する。

文字盤を外すときは、
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文字盤の足に圧力をかけて固定しているこのネジを半分ずらす。少しわかりにくいいがネジの頭に切り欠きがあり、そこに合わせる。

文字盤とムーブの間にこじ開けをいれ、回しながら軽く抉っていきすこーしずつ開ける様にする。
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おおー。結構こすり傷入ってますなぁ…


その2へつづーく。












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