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2021年06月

Omega Memomatic オーバーホール その1

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さて、僕が二本目に手に入れた機械式時計であり、アラーム時計にはまる切っ掛けとなった、OMEGA Memomatic。6-7年前に時計屋にOHを依頼した後は全く手つかずであったので、そろそろ分解掃除しようかなという事になった。

緑のシャツと、緑の紐ブレスと共に。時計のブレスは、ビンテージもののエクステンションベルト。ばね棒のところが横にびよっと広がるので、22㎜のラグ幅を持つこの時計にもこのようにハマるのでした。
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蓋を開けたところ。
え?自動巻きじゃないの?と思うかもしれないが、これは僕があえて外してある。理由は、軽量化のためと、自動巻きローター芯の摩耗を防ぎたいたいから。ローターは別の袋に大切に保存してあります。自動巻きの手巻き化、おすすめです。
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裏ブタ。あらまあ、、、さびも浮いてるし汚れがひどい。
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というわけでばらしていく。まずは外環のリングを取り外す。いきなり思ったより複雑で、これは分解にあまり慣れてない人が手を出したら一発で分からなくなるやつだと思いました。
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ケースの中身。この個体は文字板の状態も良く、素晴らしい。
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緊張した面持ちで針を取り外す。真ん中の印はアラームインジケーターで、この時計のすごいところは、なんと時間と分の両方でアラームセットできることである。とはいえ厳密に分単位で会わせられるわけではなく、組み立てManualの注釈には『+ー4分でアラームが鳴るとよい』みたいな事が書かれてあった。
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裏返して、ムーブメントをばらしていく。
この瞬間が緊張するし、わくわくするし、楽しい。体験したことある人しか分からないはず。
ほんっと楽しいのです。
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自動巻き機構の取り外し。ここまでは、ローターを外した時にやったことがあったのでした。
(ドライバーが写ってますがもちろんこんな適当なドライバーで分解してる訳ではないです)
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真っ先にテンプを取り除く。実はこれも二度目で、昔テンプがずれてたことがあり、修正するのに外したことがあった。

ムーブメントの刻印も見える、Cal.980 である。元はレマニアのアラームムーブで、それをOMEGA用に色をつけたりカスタムしたりしたものだ。
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輪列受けを取り外す。ここから先は未知の部分。ドキドキ…

なんとなく見て思うのは、向かって左側は普通の時計の機構で、右にアラーム用の機構があること、香箱(メイン動力源)は一つであり、時計の運針とアラームを鳴らす動力は同じ主ゼンマイからとってきているという事だ。
(SEIKO Bell-maticや、VulcainのCricket、JLCのMemovoxはアラーム用に独立したゼンマイがある)
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せっかくなので右側のアラーム機構側からバラしていく。
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この銀色に光っている金属の塊はハンマー。これがすごい勢いで振動し、外環リングを叩く事によってアラームを鳴らすという仕組みである。
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ハンマーを震わせる役割をもつ歯車は、右の白いプラスチックの歯車。なんと!金属ではないのか。こりゃーアラームならしまくって消耗させるのはヤバいね。
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こんな感じで、アラーム振動用歯車の上側をはずすと、大きい歯車の内径に小さい歯車があるのがわかる。理解力がないのでなんのためかよくわからないのだが、おそらくは回転速度を上げるため、、、だろうか?ものすごく小さい歯車なので慎重に外し、慎重に置く。
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とれたとれた。アラーム関連機構と写真を撮る。
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これでなんの気兼ねもなく?輪列をばらしていける。
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裏がバラバラになったので次は表。文字板を取り外す。この青い部分は圧入されているだけなので、少しずつこじって外す。心臓に悪い。
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アラームインジケーターは、この2つが一つの部品になっている。分解しようとしたがよくわからなかったので、怖くなってあきらめた。
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カレンダー抑えとカレンダーディスク。このフォント好き。
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カレンダーを取り外す。
注目すべきは、中央に写っているアラームインジケーター回転ギア。大きな円盤の周囲に歯が切られている。さらに中央下には歯車が。
あとは、切替機構。リューズと、アラームボタンは下ー右にかけて見えるが、外から見るとシンプルだが、中はなかなか複雑だ。アラーム時計はアラーム機能ボタンとリューズ操作が連動しているケースがほとんどのため、このように切替機構が複雑になりがち。
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別角度から。
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いちばんなくなるリスクの高いカレンダー抑えばねは、率先して取り外す。取り外すときはこのように抑えたり、ロディコで固定したり、ビニール袋やサランラップの中でやったりする。それくらい注意しても注意しすぎるという事はないのです。
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次にアラームインジケーターの作動ギアをばらしていく。
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こんな感じ。真ん中の部分がアラームが鳴る仕組みである。鉄の棒が左上に向かって伸びており下にすこし曲がっている。これでアラーム作動ギアをロックしている。これが少し浮くとロックがはずれ、アラームが作動する仕組み。開けてみれば何のことはないシンプルな機構だが、これを考え付いて実装する(しかもPCもメールも無い時代)のは変態レベルのすごさ。
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こうしてみると、けっこう汚れがたまっている。でも削れたりしてないので状態はヨイね。
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恐る恐る、アラーム機構を外していく。絶対に部品を飛ばさないように。。。
ネジも形が違うので、どこから何を外したかというのは覚えておかねばならない。
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切り替えレバーや、アラーム機構を取り外しましたの図。左側、切替機構の部品がまだ残っている。タツノオトシゴのような形の金具が、リューズの場所に応じてアラームボタンの状態を切り替える部品。
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ばらした部品をまとめたら、こうなる。
思ったより部品数が多く複雑で、ネジの種類も多い。ものすごく怖い。
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地板。
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最後に、リューズを抑える部品であるカンヌキとばねをばらす。このばねも、もし飛んでいけばTHE/ENDなので、放射性物質並みに厳重に取り扱う。おすすめは、まずはロディコで吸着する事です。
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ここまでばらし終わったわけだが、ごらんのとおり、Cal.980は部品数が多く下手したらクロノグラフより多いのでは?と思わされた。紙に整列させたあと、丸をかいてグルーピングし、絶対に写真を撮るのを忘れない事。もし忘れたら組み立てられませんです。


次回へつづーく。



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なので、時計趣味を続ける以上、社会への情報還元という意味では一番ブログが適している。例えば、アストロディジットが気になる人がググって(他の素晴らしいサイトを読んだあとさらに)飛んでくるのは僕のツイートやインスタ画像ではなく、このブログだろう。

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…と書くと何やらよこしまなものに聞こえるがそれは素晴らしい事で、SNSを通じて僕より遥かに時計愛も知識もスキルもある人々を知る事ができたし、彼らの中にはプライベートで結成された同好会グループ、『ウォッチメーソン』に海の物とも山の物ともつかぬ僕のようなものを参加させてくれた人々もいる。日々、まだ見ぬ時計を知り、考えもつかなかった知識を学べる。

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突然だが、身の回りで新型コロナでなくなった人はおられますか?僕には直接の知り合いはまだいない。そろそろ話を聞いてもいい頃だとも思うし、つまりは自分がそうなっても全くおかしくないという事でもある。
また、さる時計師は、時計制作仲間のパートナーと出会ってから8年が経ったがあまりに早く感じ、あっという間に死んでしまうのだろうな、と仰っていた。

何が言いたいかというと、いつ自分の人生が終わってもおかしくないし、健康が損なわれるのはそれよりもっと早いはず。それが分かってるなら、せめて同じ趣味の道を歩む人達をたくさん知って、知ってもらって、交流するのはなんとも得難い事で、それを助けてくれるSNSには感謝しかない。

これは偽りない気持ちであり、この点で、まだTwitterなどで時計好きの人達と繋がってない皆様には、ぜひ、騙されたと思ってアカウントを作り、(僕をフォローする必要はないので)僕のフォローしてる人たちを適当にフォローしてみるとよいのに、と願ってます。

反響を必要としない時計愛

でも、時計愛を持つ人たちにとって、反響とは必ずしも必要なものではないし、むしろ嫌う人たちだっている。それもまた素晴らしい事だと思う。僕はブログを長く続けてきたが、ブログに反響を求めたことは一度もなく、遠い将来誰か一人にでも僕の記事が役に立ってくれれば幸い、と思いながら書くものだと思っている。

SNSがあまりに楽しく最近はそれを忘れそうだったので、今一度こうして考え直す事は、意味の無いことでは無かったと、時計を眺めながら思った次第でございました。


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(最近買ったダークブルーのベルマチック・オクタゴン)

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