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2025年03月

東京タワーとMemovox E855

それだけ。

黒い背景に黒い文字板が映えるなあ

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この時計は、ジャガールクルトの Memovox e855の黒文字板である。大変レアで、かつ、僕の考える一番カッコイイ時計のひとつだ。僕は『Black Knight』と呼んでいる。

黒文字板にも実は数種類あり、これは夜光のドットが無いモデル。元々あったのが落ちたのではなく、「ない」バージョンが存在するのだ。スイスのジャガールクルトの博物館の画像で見たから間違いない(僕がそこを訪れたわけではなく、訪れた人の撮影したE855の文字板のレパートリーを展示したパネルで確認した)。

ブレスレットはオリジナルのGay Freresブレス。シャリシャリとした軽い感覚、きらびやかで曲線的な外観が特徴の当時物のブレスレット。軽いため強度があるわけではなく、現存するのは比較的レアである。

夜光の入ったドーフィンハンドの針と、外周から内周にかけて直線的に配置されたインデックスがチャームポイント。このインデックスは途中で曲がっているため色んな方向の光を反射し、視認性向上に貢献している。

あこがれ続けた時計に、ふさわしいブレスレットを装着して手首に巻く。この瞬間は、何度体験しても何とも言えず感動するものだなあ。

Jovial Vision 2000 との邂逅

その昔、僕が時計を好きになるきっかけになった、あるWebsiteがある。『Watchismo』というWebsiteで、古今東西の珍しい形の時計をブログ形式でいろいろ紹介しているサイトであった。
その後Watchismoは時計販売サイトとなり、今はWatches.comと名を変えている。ちなみに当時もビンテージ時計の販売はしており、今考えるとかなり珍しい時計が安く売られていてお得であった。

その中で、かつて『こんな広告見つけたけど・・・・なんだコレ!?』という感じで記事で取り上げられたとある時計があり、僕はその時計がずっと気になっていた。

1970 Jovial Vision 2000 - Today's Time with Tomorrow's Styling
https://watchismo.blogspot.com/2007/07/1970-jovial-vision-2000-todays-time.html


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かなり変な形のこの時計、その名を Vision 2000 という。Jovialという、今も続くスイスの時計メーカーが大昔に作ったモデル、らしい。

その後海外のフォーラムなどで話題になることもあったが、実物がほとんどなく、Webに資料が全くない。しかしその異形から、僕のようなスペースエイジな時計好きの間では幻の時計としてしばしば語られる事もあるモデルであった。

僕もずっと探していたのだが、どうやら上記の広告を作りバーゼルワールド(1969? -  1970?)に出展したが、その時に販売したプロトタイプのみで回り、一般販売はなされなかった、という説があり、きっとそうなのだろうなあ、と思っている。

※追記
昔のEuropa Star(時計情報誌)のアーカイブを見ていたが、VISION2000の広告が最初に登場するのが1968年。そして、1969年のバーゼルにはJovialは参加しておらず、1970年のバーゼルフェアに参加していることが分かった。(なんとブースはRolexのすぐ裏w)

この時に、販売までこぎつけられなかったプロトタイプが持ち込まれ、展示販売されたのではないだろうか?そして、日本のヤフオクで出た事があるというのは、この時バーゼルフェアを訪れた時計関係者の日本人が「お、ナイスデザイン」みたいな感じで買い上げ、日本に持ち帰り忘れ去った…というのはありうるだろうか。僕は大いにありうると思うのです。


1970年のバーゼルフェア参加企業に、Jovialの名がある↓
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会場のマップ。Rolexの真裏にJovialが位置している。
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 --- 追記終わり ---



だがしかし、探しているとたまーーーにebayで見かけることがあった。なんとなく5年に1度くらい?かな?そして実際に出品者と会話しつつ落札するチャンスがあったこともあったが、状態が非常に悪くかつあまりに値付けが高いために見送っていた。

んでこの度、ようやく満足のいく個体に巡りあい、手に入れた。

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どうだろうこの異形…。まるで宇宙服のヘルメットのような形状で、下から文字板と針をのぞき込む必要がある。かなり横長の楕円形で、およそ従来の時計とはかけ離れた見た目をしている。

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レバートリーとしては白文字板や金ケース、針に夜光がついているもの、そして日付表示のあるものまで存在する。以下拾い画像であるがいくつかご紹介。
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このモデルはイタリアのさるコレクターのものらしい。
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幸運にもフリーマーケットで入手した、という持ち主。
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その筋では有名なHorolovoxさんのインスタでも彼のコレクションとして登場。これも夜光・日付アリで、よく見るとインデクスに夜光のドットもある。ただし、ケースはほかのSSがヘアライン加工されているのだが、これはポリッシュ仕上げである。再メッキされ磨かれたのか、あるいはカレンダー付のバージョンはポリッシュ加工のバージョンとして存在したのだろうか!?(↑のイタリア人のものもおそらくSSだが、元はポリッシュかサテン加工っぽく見えなくもない)
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以前ヤフオクで出た個体。そして多分これが一番状態がいい。文字板なんて完全MINT…ヤフオクで出たという事は日本人が落札したと思ってるのだが、果たして今はどこにあるのか…
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まあ、困ったことに…ほんとに数が少ないのである。上記にあげてる個体も比較する同じモデルの個体が無いので、本当に何もわからない。仮に各色の組み合わせ1個ずつの販売だった、と言われても納得できるくらい、本当に数がないw

唯一、SSx白文字板、カレンダー無しは、↑のように二つ個体が確認できるので、ほかの組み合わせのものも複数あり、どこかの蔵で眠っているか、土に還っているのであろう…。

そんなこんなで幸運にも僕が手にしたのはSSのヘアライン加工、青文字板のカレンダー無し、という組み合わせである。もちろん、ほかの個体をネットで見たことがない。これからも見ることは多分ないであろうw

実際に手にした感想は、
  • 思ったより横に長い
  • 思ったより作りがしっかりしている
  • 蓋がパカパカ動くw(なので、プロトタイプという説は正しいと思っている)
  • 意外と時計が見やすい
  • ってか可愛すぎる…!!
というわけで、ひとしきり愛でたので、早速OHへ。。。。(手に入れてからバラすまで2時間w)

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