懐中時計第一号…!Tavannes (タヴァンヌ)懐中時計ゲット&OH
Tavannes Watch Co.が製造し、Schwob Freres(シュヴォブ兄弟商会)が販売・流通させたと思われるこの懐中時計、、…おそらく1890年代後輩から1910年代くらいまでの時計だと思われ、年齢は110歳を超えているという事になる超ビンテージ時計である。僕は全然知らなかったのだが、このように明治期に日本に作られた商館が販売させたものを、『商館時計』といって懐中時計の一大ジャンルらしい。名前は聞いたことあったのだが全く興味なかったので全然調べたことがなかったが、ちょっとしたきっかけで懐中時計に少し興味が出てきてしまい、適当にヤフオクでポチったのが届いたものである。
つまり、正真正銘自分自身の懐中時計である。第一号!
風防は開くような仕様になっている。ちょっと緩くなってるみたいで爪でひっかければすぐ開く。腕時計では考えられないので不思議である…

リューズを押し込むと裏蓋がパカっと開く。ムーブメントはこのとおり錆ていて、不動である。が、腕時計では超高級機でしか採用されないであろうシャトンや、スネイルカムつき緩急芯、独立したガンキ受けなどちょっと信じられないような豪華なつくりである。受けに施されている波線のような模様?は、おそらく「ダマスキン文様」というものなのだろう。
地板にはペラルージュが施されていて、ムードたっぷり。

くすんではいるものの、つくりとしては最高級といってもいいのではないだろうか。今見てもこんなに美しいので、明治の時代にこれを手に取った人はどれほど魅了されたことか。

錆はあとでやすりで落とすことにしよう

OHしようと分解。竜頭はネジをゆるめて引っこ抜くタイプ。竜頭を抜いて、指で文字板側におしこむと外れたのだが、なんとスペーサーとして”紙を丸めたもの”が入っていた!!なんだこれ!?
あとで気づいたのだが、この時計はキドメねじが一つなくなっているのである。それで、ケースの中でムーブメントがガタガタするので、この紙をこよって丸めたものを入れて固定していたのであろう。WOW、なんて技なんだ。

ケースもこのとおりまっくろけ。ほこりもびっしりたまっていた。

文字板は琺瑯?だろうか。この時代の琺瑯は普通に水洗いして表面の汚れを落とせばピカピカになると読んだことがある。でも怖くて試せない。
文字板を外したらこんな感じ。素直なつくりであるように見受けられる。

何やら刻印がある。MODELE…何と書いているのだろう?DHPOSE?DEPOSE?

これはテンプ受け側だろう。下部にはシリアルナンバーも刻印されている。

腕時計に比べるとすべてがでかい!しかしでかすぎるというわけではないので、ドライバーとかも普通に流用できるので楽であった。ちょっと大きいドライバーを研ぎなおして使った。

テンプをはずした状態。アンクル受けが丸い!!wまるで万博の大屋根リングのようである。こころなしかミャクミャクのようにも見える。んで、アンクル受けのねじが一個ないことに気付いたが、まぁいいか…

アンクル、ガンギ、輪列抑え、角穴車を取った状態。

輪列を取り除く。積年の汚れがみっちり詰まっている。全部綺麗にするぞー

これは香箱受けの裏側。非常に単純なコハゼ機構である。

そして時計の個性が表れれるのでいつもドキドキする、切替機構まわり。非常に単純な仕組みである。そうか、こういうのでいいんだな、こういうので…

左側に見えるわっかのようなパーツが、ダボを押し込んだら動いてツツミ車を押し上げ、時刻合わせのギアに接続するのである。

歯車は研磨剤で磨く。そんなにきれいにならないけど、少しでも錆やくすみをとりたいのである。

部品たち。

テンプまわりもばらしていく。この受け石にある小さなネジは、古い時計ではボロボロになっていて、閉めにくかったりすることがおおいのだが、幸い状態はそんなに悪くないようだ。でも、ネジ穴が結構ぼろぼろになっていたので何度も開けたり閉めたりしたくないなあ。

スネイル機構とその下のばねは、ネジで止まっているように見えるが回しても取れない。ので、仕方なくこのまま研磨剤で研磨することにする。

緩急針も同じように錆をとり磨く。

香箱の中身。今の時計と比べると密度が低い…!!!スカスカである。

メインスプリングも分厚くて短い。しかし、こうした機構は120年前も今も変わっていないというのはすごいことだ。

地板を洗った状態。すっきりしましたw

注油しつつくみ上げていく。つくりは非常にシンプルなのでなんら迷うところがない。分解掃除初心者におすすめである。

心なしか、すこしだけ輝きを取り戻した輪列たち。

テンプ受けも注油し、固定する。

大屋根リングのようなアンクル受けを取り付ける。これ、とても取り付けやすいし、見た目が華やかでいい。腕時計でも真似すればいいのに!

テンプを置いたら快調に走り出す、一安心。じつは四番車に、表側からツツカナを圧入するときとてもきつかった。きっともっといいやりかたがあるのだろう。(のちにタガネポンス台を買い、それでしっかりと圧入できることが確認できた)

タヴァンヌとある。言わずと知れたTavannesである。カタカナで書かれているところにぐっときてしまい、思わず落札してしまったのでした。

ぱかっとひらいていつでも機構を眺められるのはとてもよい。きっと120年前に手にした人も、折に触れてこうして機構を眺め、どういう原理で動いてるのかと好機の目でまじまじと観察した事だろう。
当時、こうした時計、とくに高級機は今の自動車を買うようなものだったと聞いたことがある。もちろん普通の家庭ではなく比較的豊かな家庭でしか入手することは叶わなかったであろう。
このような美しい機械に見とれて時を刻む音に耳を傾ける…さぞや至福の時だったのではないか。

針は、もっと小さな風防でも時間が分かるようなデザインのものらしい。が、普通にこれだけでみてもおしゃれなデザインである。もともとは青焼きされていたものだったのだろうが、今やさびてしまっていた。紙やすりで錆をとって取り付けた。ほんとはもっと磨いて青焼きまですればよいのだろうが、そのようなスキル、設備はないのです。

壁にかけて時を刻む。精度が全然でないのでへこんでいたのだが、どうやら商館時計はつくりも整備もよいというわけではないので精度はそこまで出ないものらしい。この姿勢で日差20秒程度だろうか、まあ優秀なほうなのか?という事で満足することにした。
横にかかってるのはDeath StrandingのBBポッドのスノードーム。

以上、初めて自分で買った120年前の懐中時計のOHでした。


















