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前回からのつづき。

ブレスはおもしろい手法で固定されていた。ネジを両側から外し、片方のブレスを取り外して作業。

裏蓋にある全てのネジを外し、出てきてのはなんと…!

とても美しいムーブであった。この時点で、「パチモンじゃなかったのか!」と驚く。
ペラルージュ紋様、コートドジュネーブのあまりの美しさにしばし見入ってしまった。


あとで調べたらETAムーブらしいが、こんなにきれいに仕上げられると高級機に見えてしまう。嬉しい驚きであった。

さて、感動しつつもカレンダーディスクへアクセスすべく分解に取り掛かる。

ベゼルを外して掃除。緑色の汚い汚れがこんなに詰まっている。時計を使った後は、ちゃんと汗を拭きましょう。


これがベゼル。知らない人はいないであろう、高名なサンエーパールにて研磨。テカテカにすると安っぽすぎるかなあとおもい、軽く磨く程度に。

少しはきれいになったかな?


以下の写真のオレンジがベゼル固定ネジ、青色がスペーサー固定ネジ。スペーサーもステンレススチールで重厚であり、感動したのであった。安物はプラスチックだったりするからなあ…

スペーサーをはずしリューズを外したら、この通りムーブが取り出せる。ムーブの取り出しは針やテンプに触らないよう細心の注意を払って行う。いじり慣れてないと、ここで必ずどこか部品を壊す。
美しい!と、思わず見とれる。青ネジも美しい。欲しい。ください。


裏蓋とダイアル。ガラスコップをかぶせほこりよけ。

針を外す。
文字盤に傷がつかないよう、ビニールに切り込みを入れたものを被せ、文字盤を保護した上で取り外す。
美しい針だ。青焼きだろうか、塗装もしくはメッキだろうか?経験の浅い僕には判断がつかない。


カレンダーディスクにアクセスすべく、文字盤を外す。
このモデルはキャリバー裏のネジをまわし、文字盤の足の固定を解除してから文字盤とキャリバーの間の切り込みにドライバーをいれ、軽くコジってやる。この作業も文字盤を変形させないよう、神経を使う。
リューズのパッキンはキレイであった。

んで、開けてまたまたビックリ、この美しさ!!日の裏面にまでびっしりペラルージュ紋様が刻まれている。カッコヨイー。

肝心の修理は、カレンダーディスクを持ち上げ、正しくセットするだけ。抑えを外したまま保持する必要があるので、両手での作業になる。以下は抑えを保持している左手です。

で、元どおり組み上げて歩度調整。歩度を簡単に表示してくれるびぶ郎というフリーソフトを使う。これは本当に素晴らしいソフトである。最近はiPhoneもタイムグラファーとして使えるらしいが、マジだろうか…。

調整前

調整後
悪くないのではなかろうか。

満足したので針を取り付ける。この作業も気を使う。三針が触れ合わないよう、文字盤を傷つけない、汚さないよう…。

針の取り付けは審美性だけでなく動作に影響することがあるので本当に怖い。いつか良い器具を買いたいものである。
横から見たところ。細心の注意を払い取り付け、調整する。文字盤と機械の間、真ん中に見えているめっちゃ小さい穴のようなところが、文字盤を外す際にドライバーをいれる部分。

あとは元通りに直しておしまい。

色々操作したり放置したりして様子を見る。重厚なスペーサーだったので、リューズを入れる際位置合わせに手間取ってしまった。

同時に預かった二本のツーショット。


カルティエ、なかなかええやん!!