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久方ぶりに会った先輩と飲んだのだが、手に巻かれていたのは結納返しでリクエストしたと言うパネライの二針時計。

うーん、デカい!
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僕のような古時計愛好家には、そのでかさ、質感、形状、仕上げ、どれを取ってもものすごく刺激的である。
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が、なんといってもこの顔。

文字盤の潔さ、夜光は刳り貫いたアラビアインデックスから下のレイヤーを透かせるという手法、シンプルだがオリジナリティの高い二本だけの針…などは大変趣があってよい。

このスッキリとした文字盤のせいで、ゴツいケースが全く気にならない。この調和が名作たる所以であり、このブランドのアイデンティティと言えるのではないだろうか。
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ムーブはどんなもんかなー、と思い裏返す。

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綺麗に面取りがなされており、コートドジュネーブも美しい。視野も広いので迫力がある。

裏返した時にも所有者を癒してくれるというのは重要だ。この持ち主は、もう何年も前からこの時計を大事にしていて、ほぼ唯一所有しているのがこのパネライである。

彼はこの時計と長い間苦楽を共にし、日々ゼンマイを巻き上げてきた。

大切なミーティングの時間も、楽しい飲み会の時間も、辛くて出口の見えない時間も、この世の何より貴重な時間も、このパネライによって告げられてきたのであった。

1日の終わり、彼はパネライをそっと外す。その時に持ち主が裏を見て、ガッカリするような事は許されない。手巻きムーブとはいえ、ここまで美しく仕上げられているならは、きっと、明日もまたこの時計と共にいよう、と彼は思えたはずだ。

自分の時計としては考えたことも無かったが、触ってみるとパネライはやはりとても良い時計であった。気の置けない先輩の相棒として、頼もしい奴だと感じた。


…腕にはめさせてもらいもしたのだが、酔っ払っていたので写真がない。悲しい…