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時計雑誌の編集者というお仕事

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一昨年から、縁あって時計雑誌の編集者・ライターの方々とお話しする機会が、ぽつぽつとあった。

もちろん彼らはプロフェッショナルなので時計の知識はすごいし、書いている文章もとても勉強になるし、ちゃんと事実を裏どりして書いてくれているので安心である。

そして、実際にお会いして話をしていたら、書物に書いてあることの数倍濃いお話をしてくださる。つまり、彼らの経験や知識をオレンジジュースのようにぎゅっと絞って絞って、いろんな事情で出せないものを取り除いて、きれいにパッケージングして値段をつけたのが、我々が目にする彼らの『仕事』である。

しかし、これって凄いことだよなあ、大変な仕事だよなあ、といつも思うわけです。

何故なら、彼らは誰よりも時計に詳しいかもしれないが、きっと時計好きの誰よりも、『自分の好きな時計』に拘る事ができないと思うから。

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(手がおかしいのはAIのせいです)

どういう事か。

彼らの仕事は日進月歩で進化し、目まぐるしく情勢の入れ替わる時計業界の最新情報を常にとらえておく必要がある。ので、常にアンテナを高くかかげ、膨大な情報を処理し、新しいことや人に取材をし、記事化する必要がある。時計業界で最新情報を幅広く常に追い続けるって、どれだけ大変なことか想像がつくだろうか?

自分の好きな時計、ひょっとしたら自分の持ち物についてすら、振り返ったり、ゆっくり愛でたりといった暇もないのではないだろうか。そして、会社もそんなものは求めない。なぜなら、読者にとって価値がないから。

たぶん、自分の苦手な分野についても情報を追い、取材し、記事化し、その記事について誰かに怒られないといけない。その度に「こんなもの俺だって書きたくないよ」と、心の中でだけ呟くしかないのかもしれない。

もしも自分がただの時計好きなら取り上げもしない、目もくれない、自分にとって全くどうでもいい時計についても、だれがどういう意図で発売し、どう出来上がっているか、どの写真が一番マシに見えるか、噓をつかない程度にどう魅力的に書くか…というのに頭を悩ませる必要もあるのだろう。

そしてもちろん彼らは公平な立場からものを書く義務があるため、自分が好きなブランドを感情をこめて賞賛するような文章を書くことができない。いや、ひょっとしたら少しはあるのかもしれないが、そうすると今度は他方から文句を言われることを覚悟しなきゃいけない。

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(最近買ってOHしたSEIKO 45-7000。精度が異次元に素晴らしい。もちろん本文とは関係ない)

きっと、彼らの真似なんて誰にでもできるものではない

時計が好きだからという理由でやってみようとしてもすぐにやめたいと思ってしまうんじゃないかと思う。少なくとも僕には、手持ちの愛すべき時計たちを端において、そんな時計たちを眺める間もなく最新の情報を逐一追って行って調べなきゃいけないなんて、とてもじゃないが無理だ。

じゃあ、僕と、編集者の方々は何が違うのか?

思うに時計雑誌の編集者とは、『自分の好き』を犠牲にして、まだ未知のもの、いつか誰かの『好き』になるものの探索に身をささげている、いわば『殉教者』のようなものなのかもしれない。だからこそ、大人な時計愛好家の皆様から、尊敬の念をもって迎えられ、賞賛され、慰労されていると思うし、もっとされて欲しいと思っている。

彼らが探索を行ってくれるから、それを市井の時計愛好家が活用し、愛すべき時計を新たに発見し、学び、ゆっくりと自分のコレクションを楽しむことができるのである。たぶんこれは時計だけじゃなく、もちろん、音楽雑誌や、クルマ雑誌の編集者にも通じる事なんだろうなあ。

僕は彼らに敬意を抱いている。そして直接お会いして、なおさらその思いを強くした。


願わくば、世の時計愛好家の皆様も、彼らの仕事への対価としてお金を払うことで、つまり本を買うことで、その思いを示してほしいなと思う次第でございます。そして彼らの会社には、高騰するスイス時計のように彼らの給料を毎年5パーセントとか10パーセントとか上げていってほしいなと、思うものです。


※余談ですが、以前ある時計雑誌編集者の方と飯を食いに行くのにクルマを運転した事がある。そのとき、毎日時計漬けで疲れているだろうから、何か時計以外の、気が楽になるような話題がないか探していて少し言葉に詰まってしまった。そしたら、先方から、ヨーロッパで取材した時計メーカーの未公開の話をしてくださった。きっと、僕が知りたそうな情報を選んで口にしてくださったのだろう、申し訳ないなと思うと同時にこれがプロなんだなあと感心させられたのでした。

秋の時計

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さて、秋である。

このブログは最終更新から春も夏もふっとばしてしまったため、秋の時計についていきなり書き始めてみよう。(MemomaticのOH記事の続きは、すでに写真がPCにBKUPされてしまい発見するのに時間がかかるためいつかまた)


日本の秋は湿気も少ないし温度も低いし、ドレスウォッチ好き、ビンテージウォッチ好きにはウキウキする季節である。

こんな壊れやすい音叉時計もご覧の通り遠慮なく使えます。

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あと、長袖には重めの時計も合わせやすいため、こういうコーデも可能。

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みなさまもよき時計ライフを!

ブログを訪れてくださる方へ、Twitterのご案内とSNS、時計ブログ考

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最近TwitterやインスタなどのSNSにうつつを抜かしておりますので、是非ご覧になりに来てくださいませ。フォロー、ブロック、リプ、リツイートなど完全自由です、なんの断りもいりませんです。


https://twitter.com/HorologyWatchi1?s=09

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時計ブログとは

でも思うのは、Twitterは過去のつぶやきを遡ってみるのには向いてないということ。インスタは、過去の投稿を見るのは容易だがキャプションが出ないので詳細はつかめない。

情報の蓄積性、一覧性、粒度、どれをとっても、はやりブログという手段で情報をまとめておくことは、世の人たちにとって有益な事だと信じている。

なので、時計趣味を続ける以上、社会への情報還元という意味では一番ブログが適している。例えば、アストロディジットが気になる人がググって(他の素晴らしいサイトを読んだあとさらに)飛んでくるのは僕のツイートやインスタ画像ではなく、このブログだろう。

てきるだけ、後追いでもTwitterと同等の情報は載せていきたいと考えてますので、このブログにも今しばらくお付き合い頂ければ幸いでございます。

SNSとは

SNSで楽しいこと、醍醐味というのは『反響』のある事だ。イイネやダイレクトメールを貰うこともあるし、憧れだったコレクターにリプを送れば返事をくれたり、フォローしてくれたり、たまにコメントをしてくれたりもする。誰かと繋がること、それを認識することが容易な分、あたかも仲間の輪の中に自分がいるような錯覚を覚え、承認欲、集団欲が程よく満たされる。

…と書くと何やらよこしまなものに聞こえるがそれは素晴らしい事で、SNSを通じて僕より遥かに時計愛も知識もスキルもある人々を知る事ができたし、彼らの中にはプライベートで結成された同好会グループ、『ウォッチメーソン』に海の物とも山の物ともつかぬ僕のようなものを参加させてくれた人々もいる。日々、まだ見ぬ時計を知り、考えもつかなかった知識を学べる。

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突然だが、身の回りで新型コロナでなくなった人はおられますか?僕には直接の知り合いはまだいない。そろそろ話を聞いてもいい頃だとも思うし、つまりは自分がそうなっても全くおかしくないという事でもある。
また、さる時計師は、時計制作仲間のパートナーと出会ってから8年が経ったがあまりに早く感じ、あっという間に死んでしまうのだろうな、と仰っていた。

何が言いたいかというと、いつ自分の人生が終わってもおかしくないし、健康が損なわれるのはそれよりもっと早いはず。それが分かってるなら、せめて同じ趣味の道を歩む人達をたくさん知って、知ってもらって、交流するのはなんとも得難い事で、それを助けてくれるSNSには感謝しかない。

これは偽りない気持ちであり、この点で、まだTwitterなどで時計好きの人達と繋がってない皆様には、ぜひ、騙されたと思ってアカウントを作り、(僕をフォローする必要はないので)僕のフォローしてる人たちを適当にフォローしてみるとよいのに、と願ってます。

反響を必要としない時計愛

でも、時計愛を持つ人たちにとって、反響とは必ずしも必要なものではないし、むしろ嫌う人たちだっている。それもまた素晴らしい事だと思う。僕はブログを長く続けてきたが、ブログに反響を求めたことは一度もなく、遠い将来誰か一人にでも僕の記事が役に立ってくれれば幸い、と思いながら書くものだと思っている。

SNSがあまりに楽しく最近はそれを忘れそうだったので、今一度こうして考え直す事は、意味の無いことでは無かったと、時計を眺めながら思った次第でございました。


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(最近買ったダークブルーのベルマチック・オクタゴン)

時計愛好者と会う際の心得と、不幸なトラブル

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恐怖?のオフ会


以前、時計オフ会(gtg)の様子がSNSで流れてきたのだが、その中で高級時計を並べ記念撮影をしていた際、一本が倒れ横においてあった高級時計を直撃するという悲劇が発生してしまった。
ちなみにぶつけられた側は風防の上、ぶつけた側はクロノグラフのプッシャー側側面であったので、この場合破損リスクは不幸中の幸い?にして、ぶつけた側のほうが大きかったといえる。

海外のオフ会画像などを見ていても、片腕に大量のパテックフィリップをはめていたり、無造作にテーブルの上に広げ重なり合ってる部分があったりと、ハラハラする画像を見る事がままある。

以下は僕の愛読する時計ジャーナルサイト、SJXのGTGの様子である。コレを見て、ここに大事な時計を参加させたくないなぁと思う人は、決して僕だけではないだろう。ただでさえ繊細なビンテージ時計のベゼルに金属を乗せるなど、ちょっと考えられないレベルの無配慮である。

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https://watchesbysjx.com/2016/12/photo-report-vintage-rolex-asylum-3rd-anniversary-the-tropical-paradise-gtg.html



時計は実用品であると同時に非金融資産、そして装飾品でもあるため、人によっては線傷一つすら許さないという場合もままあり、他人のものや売り物を取り扱う際には細心の注意が必要になるというのが暗黙の了解である。

で、この暗黙の了解というのが、よろしくない。

暗黙の了解という無了解


話は変わるが、国際規格という概念がある。各国で違う基準をもとに何かをするのは効率的ではないから、国際的に合意した基準をもとに運用しようという取り決めであり、品質保証の基準点である。ISOやIECなど国際的に共通の規格を作るものもあるし、各国が国内で取り決めるものもある。

こういったものがないとどうなるか?

相手とのコミュニケーションの前提となるお互いの常識がバラバラのままであれば、当然やりとりに齟齬や過誤が発生し、効率も低下するし予期せぬ被害に遭う恐れもある。結果、交流は止まる、あるいは詐欺や敵対的取引などが増加し生産的な活動が停止してしまう。

そうならないために、国際規格というものが存在する。

翻って、時計の世界ではどうか?

当然、生産過程や品質においては工業規格などが存在するのだろうが、時計愛好家がその他の愛好家と交流する際に、お互いの時計をどのように扱うかという礼儀・マナー・プロトコルというのは、今の所きまったものがない。お互いがお互いの認識を信頼し、成り立っている。

お互いの暗黙の了解という無了解の元に、愛好家は集う事になる。

では、どうするべきか?



一番良いのは、『時計を趣味として他人と見せ合う際の決まりごと・マナー』を明確にし、それに時計業界の関係者が賛同を示すことであると思う。その中で必要な項目は、
  • DO:やるべきこと
  • NOT TO DO:やってはいけないこと
  • BETTER TO DO:やったほうがよいこと
  • BETTER NOT TO DO:やらないほうがよいこと

というように大別できるであろう。

それぞれに何を当てはめるかは、各々心当たりがおありだろう。そういう心当たりを持ち寄り、最大公約数的な落とし所を探り、それに権威がお墨付きを与え、敷衍され、皆がそれを納得し、実践するというプロセスを経て初めて一般的な常識となるのである。その常識の中で各々の愛好家は安心してお互いの時計を見せあい、自慢し合い、愛で合い、あるいは競争し、国家や人種の壁を超え時計愛を語り合うという、豊かな時計文化が醸成されていくんだと思う。


山積みの問題、それを解決するSolution


以下に、オフ会に関連して僕が目にしたことのあるトラブルを列挙してみる。また、それらに対するSolutionの考察については後の回に譲るとするが、どういうトラブルがあるかというのを認識しておくのも無駄ではないだろう。他にもあれば、コメント欄にて是非教えていただきたい、です。

時計同士がぶつかり傷ができる、テーブルと擦れ傷ができる、手の高さから机に落とし針が外れてしまう、バックルが机と擦れ線傷ができる、テーブルがガラスで時計を置くたびに甲高い音がする、ブレスがケースに当たり傷ができる、リューズを上下どちらで置くか諍う、グラスから水滴が落ち時計が濡れる、敬意が無いと感じる、指紋や油汚れがついて不快な思いをする、不適切な場で不適切に時計を見せ合う、勝手に腕に載せて写真を取られる、腕に乗せる際ベルトやブレスレットと当たる、知らない人に勝手に触られる、時計あるいは持ち主を中傷される(現場、及び事後)、SNS絡み:勝手にアップされる、持ち主の顔が勝手にアップされる、秘匿したい日時、場所情報をアップされる、所有者を明示せずアップする、誹謗中傷を受ける、勝手にコラージュされる、所有する時計を秘匿したいのに公開される、時計の一部不具合を公開される、etc etc...


どういうSolutionを考えるか、それをどう提言するかというのは、今色々考えているのでおいおい報告申し上げたいところです。自分の希望はものすごくシンプルで、なんの気兼ねも躊躇もなく誰もが時計愛を語り合い、それを尊重するのに必要なことを決め、皆で共有すること
これだけSNSが普及している現代では、とても簡単な事ではないのだろうか?


みなさんもオフ会(GTG)、時計絡みの面談あるいは商談の際はくれぐれもご注意を…











10個で330円の驚異の時計バンド

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タイトルの通り。

これ全部で300円ちょいであった笑
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そのうち色々つけて遊んでみよう…

試しに一個つけてみた。SEIKOベルマチックの出番である。テカテカの茶色系レザー風味をチョイス。

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あれ?結構良くない??
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・・・とか思ってたら。。。。

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真っ二つに折れたw なんやこれーーー!
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ま、オモチャを買った、ということで。。。



・・・悲しい・・・




このあと何本か試したが、同じように短期間でほとんどがだめになった。そりゃそうだよなーw

皆さん、ちゃんとしたバンドを買いましょう、というお話でしたとさ。










時計のワインディングマシーン(自動巻き上げ機)を使う際の注意点

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最近始めたTwitterで、時計の巻き上げ機(ワインディングマシーン、以下オートワインダー)についての話題があったので覚書として。。。

目的を理解する

オートワインダーの目的は、以下のような要素が考えられる。
  1. 時計置き場として(必要要件)
  2. 時計を飾る目的で使用するもの(審美要件)
  3. 自動巻の時計を止めないためのもの(機能要件)

んで、このうち1と2が目的なのであればワインダーでなくても普通の時計ホルダーでも良いハズなのだが、どういうわけかゴージャスでかっこいいホルダー(特に斜め・縦型で時計を豪華に魅せる事ができるタイプ)はオートワインド機能がついている事が多いので、結果的にオートワインダーを買ってしまう事になる訳である。

大事な時計を、できるだけ審美性の高い状態で保管したいと考えているのは自然である。高い時計ケースを探していけば、かならずオートワインディング機能を備えるケースに行き着く。電動で動いてくれるので良さげに見え、グレード感も出てくるというのは理解できるし、実際に見ていてゴージャスで時計も映えるため、食指が伸びるというのも理解できる。

また、機能要件に関して、時計が止まりカレンダー機構が長い間止まってしまうと、次に使うときに調整等に一苦労する事になる。カレンダーでなくても、ゼンマイの巻き上げを厭う人が多い。その点、ケースから取り出してすぐに腕に巻いてつかえるオートワインダーはとても魅力的である。ここは、誰もが同意する所であろう。


オートワインダーのリスク

一方、オートワインダーが賛否両論ある理由としては、使用にあたりリスクが発生するからである。静音性や巻き上げ方向の指定などの機能要件はおいておいて、以下のようなリスクが考えられる。

  • 電気系統の故障による出荷・発熱リスク
  • 磁気帯びリスク
  • オートワインド機能により断続的に巻き上げられる事による時計内部の機械への負荷

んで、このうち電気系統の故障に伴うリスクは電化製品としての一般的リスクなので時計に特化していないのだが、磁気帯び、及び内部機械への負荷については時計特有のリスクとして考慮が必要になる点が、ポイントだと考える。

時計内部へのダメージリスク

では、時計内部へのダメージとはどのような事が考えられるだろうか?
まず思い浮かぶのは駆動系・調速機構へのダメージである。機械式時計のゼンマイというのは、きっと、ほとんど多くの人は直接触ったことがないと思う。僕は何度もこのゼンマイを手動でセットしたことがあるので分かるのだが、このゼンマイというのはものすごい力で香箱に詰まっていて、それを押さえるための調速機構も、ものすごい力を受けている事になる。

だから、時計の運針を常時行うというのは、小さな見た目からは想像もつかないくらいの力を常時かけ続けることになる。機械にとって一番良いのは、ゼンマイが完全に解けた状態、つまりトルクが0の状態であって、この状態を長くキープすることが機械の寿命を永らえる事につながる。これはよく覚えておいてほしい。

また、大事なことは、ゼンマイが少しでも巻かれている状態であれば、時計への負荷はかかり続けているという事である。よく、巻き上げきった状態が続くのが良くないと思っている人がいるが、90%巻き上げられた状態と20%巻き上げられた状態は、どちらも機械に負荷がかかっているという時点で等しく悪い(もちろん負荷の大きさは変わる)。

駆動系のほかは、自動巻き機構へのダメージである。常に動作し続ける部分である自動巻き機構はそれだけ摩耗や故障も多い。時計を止めないために巻き上げ続けるためにワインダーを買い、それによって自動巻き機構へダメージを与えることになっては元も子もない。回る速さは特に部品に影響するため、注意してほしい。回転速度が早ければ早いほど、当然負荷も高い。

時計の機械を長持ちさせないなら動かさないこと、これに尽きる。オートワインダーはこの原則に真っ向から立ち向かっているため、時計愛好家からの非難も絶えないのである。

ちなみに、巻き上げ方向とは逆にセットしておけば、すくなくとも上記2つのリスクのうち、駆動系へのダメージは軽減できる。

では、どのように使うべきか

僕の個人的見解で言えば、オートワインダーは、時計を保管するケースとして、また、その美しさを空間と調和させ、その場の誰か、あるいは自分自身と共有するにはとても良い製品である。審美性の高さや機能性の高さから製品の意義自体には大いに納得できるし、なんならカッコいいのがあれば僕もほしい

ただし、電化製品としての使用リスクに注意を払うこと、および時計内部の機械への負荷は最小限に留めることを忘れないようにしたい。具体的には、
  1. 信頼できるブランドの製品を買う。不良品報告や事故の報告が無いことをしっかりと確認する。
  2. 動かさない時にはすぐ主電源を切る、あるいは電源を抜くことができる製品を選ぶ。
  3. できるだけ香箱が”低いトルク”の状態を保ちつつ、”断続的”に”低速”で巻き上げ続ける設定が可能な製品を選ぶ。
  4. ただの時計ケースとして使う。
  5. 手巻き時計を入れ、無駄にくるくる回る様子を楽しむ。笑


以上、オートワインダー、あるいはワインディングマシーンに関する一考察でございました。読んでいる方の時計ライフに、少しでもお役に立てれば幸いです。


 *ヴィトン特注のウォッチワインダー、お値段たったの1000万円なり。
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Twitter始めた → @HorologyWatchi1

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何年ぶり何回目になるんだか…

最近、COVID-19の情報収集でTwitterをよく使っていた。Twitterは信頼できそうな人をフォローさえしていれば、その人が勝手に情報を取ってきて勝手に解説をしてくれるので、いちいちニュースを追うのがものぐさな身としてはとても助かるのであった。

んで、なし崩し的に色々読んでいくと、、、時計関係のつぶやきがとてもおもしろいことに気づいた。何人か時計業界で名のしれた人をフォローしたりしたが、メディアやInstagramよりも、もう少しぶっちゃけたことを喋っていておもしろい。しかも、こういう人たちも勝手に情報を取ってきて勝手に解説をしてくれるので、とても有り難い。

ということで、もう5年位呟いていない本垢をおいといて、時計垢(@HorologyWatchi1)を作ってみた。 一応リンクというところにこのBlogのURLを入れておいたが、まあ誰も踏まないであろう。。w

更新内容は、Blogに書くほどでもないがInstaに上げれるほどのものでもなく、かといって完全に忘れるのは少しもったいない備忘録、、、というような感じになるであろう。あと、FF外から失礼します文化がまったく理解できないので、それを許せない人に怒られたりして意外とすぐにやめるかも。。。😅

なんか名前を書いたら勝手にユーザー名を決められ、しかもそれがHorologyWatchi1という、腹痛が痛いような感じの名前になってしまいやや凹んでいる。。。(後で変えられることを今知ったが時既に遅し)
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以上、どんだけ今更やねんという感じですが、Twitter始めた話、でしたとさ。


迷うのは、ここのアップデートをTwitterに流すかどうかなんだよなー。全然Twitterに流すような価値のある情報ではないのだが、まあ物は試しで今度流すよう設定してみようっと。







カンボジア初の時計学校、Prince Horology訪問!その2

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というわけでカンボジアはプノンペンへ。このブログの読者の何人がカンボジアに行ったことがあるだろうか、あったとしてもほとんどはアンコール・ワットのあるシェムリアップではなかろうか?

プノンペンへ

こちらは首都プノンペンのプノンペン国際空港。東南アジア独特の空港に降り立った瞬間の熱気にまかれつつもリストショット。相棒はSINNのクロノグラフ、256。SINNの信頼性は圧倒的で、ついついこういった海外旅行に連れて行ってしまうのである。

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バゲッジクレームへ続く道。こぢんまりしているが、清潔で明るい空港である。

信頼できるSINN

SINNには、発汗を予測しラバーバンドを装着。圧倒的つけ心地、圧倒的機能性。SINNのような時計にはラバーバンドがお似合いである。

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SINN 256の精悍な佇まい。この時計はチタン製の屈強なケースの中に、信頼性の塊ともいえる高品質なETA7750が搭載されている。正確性はすさまじく、1-2年前にテンプを入れ替えとても元気に動いている。

プノンペン空港から市内へ


さて、空港から市内へは自動車でおよそ40分ほど。距離はとても短いのだが、渋滞がひどいのでこのくらいかかるのであった。平日の昼間についても渋滞がひどいので、週末はあまり考えたくない。

ホテルにチェックイン。プノンペンは海外資本のきれいなホテルがたくさんあるがそのどれもが非常に安く、とてもお得である。このホテルは以下の通りゴージャスな内装の広い部屋、清潔で明るい最新機器の揃うバスルームに日本以上のサービスがついて、一泊1万円を切る。無論、一部屋あたりの値段であって、複数人で泊まればもっと安くなる。

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プノンペンはメシウマ

カンボジアといえば旧インドシナ。フランス統治下におかれていた歴史があるだけあって食が豊かである。カフェも充実していて、早速気になっていたエリックカイザーへ。

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やはりめちゃくちゃうまい。。。

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周辺国でもエリックカイザーを食べたことがあるが、カンボジアが一番美味い。

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パンもコーヒーもめっちゃうまい。目当てのクロワッサンは残念ながら売り切れていたが、他のもうまかった。コーヒーはここで飲んだらもうスタバとかでは飲めない。

Prince Horologyへ向かう

腹ごしらえが終わり、さっそくPrince Horologyへ向かう。交通手段は、市内でもっともポピュラーな交通手段であるトゥクトゥク。ちょっとした距離であればだいたい1ドル、電車で2駅分くらいであれば2ドル程度。

Prince Horologyへはおよそ30分ほど。料金はたしか4ドルくらいだった気がする。なお、単位はUSDである。一応リエルという通貨もあるのだが、ドルのほうが便利だし流通している。

降りるときに運転席を撮らせてもらった。この箱がなにかわかるだろうか?
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カンボジアではGrabや、ローカルの配車アプリをつかいトゥクトゥクを呼ぶのが普通である。つまり、運転席にスマートフォンを設置するのが必須なのであるが、困ったことにプノンペン市内ではスマホのひったくりが横行しており、僕の知り合いも何人かやられたと言っていた。運転席のこの箱は、ひったくりからスマホを守るための彼なりの工夫であった。感心した。

いい笑顔である。
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アポイントメントが現実に

道路からすこし入ったところに、目的地であるPrince Horologyがあった。

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基金の看板と並べて、学校の看板が掲げられている。テンションめちゃめちゃ上がったw

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約束の時間である14:00きっかりに、一人の若者が厳重にロックされた鉄扉を開いて降りてくるのが見えた。辺りを見回し、僕の姿を認めると軽く会釈をしてきたので歩み寄り握手。

まだ開校前の時計学校、しかも東南アジアでも類を見ない最新機器の揃う施設に足を踏み入れる。間違いなく日本人では僕が初めてであろうw

若干の緊張と高揚感を抑えきれず、声が上ずって足取りが心もとない。紳士的な青年に案内され、3Fの会議室に通された。


つづーく。


 

あけましておめでとう2020!

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というエントリを書かないとなんか更新しにくくなったので気分的に。。。

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昨年は時計がらみで色々と出会いのあった一年でございました。
お世話になった皆様、その節は誠にありがとうございました。

今年は、時計がらみの出会いをさらに増やしたいと思っているので、
引き続き何卒よろしくお願いいたします。

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以下、暇な人のみ読んでください。


時計の何が好きか

こんなブログを読んでるあなたはきっと時計好きだと思うので、このテーマについて少し考えてみてほしい。あなたは時計の一体何が好きなのか?

一口に時計好きといってもこれはほんとにまちまちで、色々なコレクターの方の投稿を読んでいるが、だんだんと嗜好の合いそうな人、合わなそうな人というのが分かってくるのが面白い。

時計とはなんぞや、という哲学的な疑問には、すでに偉大なる先人であるところのアルキメデスが非常に鋭い考察を与えている。テセウスの船というテーマの問題に関する、『四原因説』という回答である。

テセウスの船(Wikipedia)

ギリシャ神話

プルタルコスは以下のようなギリシャ伝説を挙げている。

テセウスアテネの若者と共に(クレタ島から)帰還した船には30本のがあり、アテネの人々はこれをファレロンのデメトリウス[1] の時代にも保存していた。このため、朽ちた木材は徐々に新たな木材に置き換えられていき、論理的な問題から哲学者らにとって恰好の議論の的となった。すなわち、ある者はその船はもはや同じものとは言えないとし、別の者はまだ同じものだと主張したのである。

プルタルコスは全部の部品が置き換えられたとき、その船が同じものと言えるのかという疑問を投げかけている。また、ここから派生する問題として置き換えられた古い部品を集めて何とか別の船を組み立てた場合、どちらがテセウスの船なのかという疑問が生じる。


ー中略ー

アリストテレスの四原因説

アリストテレスの哲学体系では、事象の原因を4つに分け(四原因説)、これらを分析することでパラドックスに答えることができるとされる。アリストテレスによれば、ある事象が「何であるか」は「形相因」であり、その観点では設計などの本質が変わっていないため、テセウスの船は「同じ」であるとされる。同様にヘラクレイトスの川も「形相因」的には変わっていないが、「質料因」が時と共に変化しているとされる。

また、「目的因」から見ると、テセウスの船は「質料因」としての材質が変わったとしても、テセウスが使った船であるという「目的因」は変わっていないとされる。「動力因」は誰がどのように作ったかを指し、テセウスの船の場合、船を最初に作った職人は同じ道具や技法を使って修理(部品の置換)をしたと考えることができる。


つまりは、時計という物体を認識するとき、時計の何をもって時計と判断するか、というとらえ方は四つあるという提言である。これは鋭い。この四つのとらえ方というのは質量因、形相因、作用因、目的因、である。

詳しくは上記Wikipediaを読んでいただくとして、これは時計が世の中に産まれ、その時計に価値を見出す人が産まれる現象を説明する提言として、また、ご自身の時計愛を客観的に見つめなおす視座として、とても有益な考察だと思う。

少し砕いて言えば、質量因は時計の材質、形相因は時計という概念、つまり時を表すという機能、作用因とは時計が作り上げられる工程、そして目的因は実際に使ったり売ったりする目的だと言い換えることができよう。こうして四つに分解するだけでも、嗜好はかなりバラバラである事がお分かりいただけるのではなかろうか。

…というのを踏まえて、自分の嗜好を改めて見返して、新年の抱負代わりにこのブログは何でないかを考えてみた。


『いつかデイトナ欲しいよね』は何でないか
  • ショッピングサイトではない。商品を売ることは無い。
  • 掲示板サイトではない。読者同士の交流は無いほうがよい。制御できない。
  • ニュースサイトではない。時計のニュースは日々溢れていて個人で追いかけるのは不可能。それを分かりやすく説明するのはもっと不可能。
  • 宣伝サイトではない。特定のブランドの宣伝を目的としたエントリはない。需要が無い。
  • 日記ではない。読み手が読んだ後何も心に残らないものを書きたくない。個人情報も書かない。
  • 批評ではない。悪口は書かない。誰かが読んで傷つく可能性のある事は避ける。
  • 政治、宗教の話はしない。不要な争いは避ける。



皆様も、2020年が時計愛にあふれたよい一年になることを祈っております。





『HODINKEE』日本語版ついに登場

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みんな大好きHODINKEEの日本語サイトがついに登場。

Hodinkee.jp
https://www.hodinkee.jp/


HODINKEEというのはこんなもの好きのブログを読んでいる人ならきっと知っているかと思うのだが一応説明しておくと、アメリカ発の一大時計情報サイトで、
  • プロが書く一流のテキスト
  • プロが撮る一流の写真
  • 取材を基にした圧倒的な情報量
  • マニアックな時計にもフォーカスを当てる嗅覚
  • 機械式時計愛が一貫している
というような特徴を備えたWebである。

hodinkeeUS


分類としてはウェブログではなく、時計販売もしているが時計販売サイトでもない。かといって雑誌のような大衆性があるかと言われればないと思う。動画コンテンツやPodcastも充実しており、あらゆるチャネルで時計について語るメディアである。

しっくりくる表現は…『重度の時計オタク軍団が、一般人の興味のある記事を多く載せたり時計産業の告知のお手伝いをしたりして時計業界の底上げを図りながらも、こじらせた時計愛を隠すことなくあらゆる高度かつ芸術的な手段で見せびらかしているサイト』というような感じだろうか…?w

今後はオリジナルの翻訳記事はもちろん、日本独自の記事も発信していくとの事で、とても楽しみである。主筆は元『WatchNAVI』編集長の関口優氏。そして苦労が多々あったであろうWeb Producer兼エディターに『腕時計の読み物(The Watch Blog)』管理人であるMasahru Wada氏。

『腕時計の読み物』は時計業界のマニアックな話題がほぼ最速で日本語にされるサイトでとても熱量のこもった記事が量産される良サイトだが、氏の手腕はHodinkee.jpでも大いに発揮される事であろう。

Hodinkee.jpのリリースがアナウンスされてからかなり長い間空いていて、できたかなーと思いつつHodinkee.jpにアクセスしにいくとIDとパスワード入力を促されるという謎認証に見舞われたりしており、個人的に大いに待ちわびていた。

ついにリリースとの事でめでたい!


『いつかデイトナ欲しいよね』は、Hodinkee.jpを応援しています。



ggg













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