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時計のワインディングマシーン(自動巻き上げ機)を使う際の注意点

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最近始めたTwitterで、時計の巻き上げ機(ワインディングマシーン、以下オートワインダー)についての話題があったので覚書として。。。

目的を理解する

オートワインダーの目的は、以下のような要素が考えられる。
  1. 時計置き場として(必要要件)
  2. 時計を飾る目的で使用するもの(審美要件)
  3. 自動巻の時計を止めないためのもの(機能要件)

んで、このうち1と2が目的なのであればワインダーでなくても普通の時計ホルダーでも良いハズなのだが、どういうわけかゴージャスでかっこいいホルダー(特に斜め・縦型で時計を豪華に魅せる事ができるタイプ)はオートワインド機能がついている事が多いので、結果的にオートワインダーを買ってしまう事になる訳である。

大事な時計を、できるだけ審美性の高い状態で保管したいと考えているのは自然である。高い時計ケースを探していけば、かならずオートワインディング機能を備えるケースに行き着く。電動で動いてくれるので良さげに見え、グレード感も出てくるというのは理解できるし、実際に見ていてゴージャスで時計も映えるため、食指が伸びるというのも理解できる。

また、機能要件に関して、時計が止まりカレンダー機構が長い間止まってしまうと、次に使うときに調整等に一苦労する事になる。カレンダーでなくても、ゼンマイの巻き上げを厭う人が多い。その点、ケースから取り出してすぐに腕に巻いてつかえるオートワインダーはとても魅力的である。ここは、誰もが同意する所であろう。


オートワインダーのリスク

一方、オートワインダーが賛否両論ある理由としては、使用にあたりリスクが発生するからである。静音性や巻き上げ方向の指定などの機能要件はおいておいて、以下のようなリスクが考えられる。

  • 電気系統の故障による出荷・発熱リスク
  • 磁気帯びリスク
  • オートワインド機能により断続的に巻き上げられる事による時計内部の機械への負荷

んで、このうち電気系統の故障に伴うリスクは電化製品としての一般的リスクなので時計に特化していないのだが、磁気帯び、及び内部機械への負荷については時計特有のリスクとして考慮が必要になる点が、ポイントだと考える。

時計内部へのダメージリスク

では、時計内部へのダメージとはどのような事が考えられるだろうか?
まず思い浮かぶのは駆動系・調速機構へのダメージである。機械式時計のゼンマイというのは、きっと、ほとんど多くの人は直接触ったことがないと思う。僕は何度もこのゼンマイを手動でセットしたことがあるので分かるのだが、このゼンマイというのはものすごい力で香箱に詰まっていて、それを押さえるための調速機構も、ものすごい力を受けている事になる。

だから、時計の運針を常時行うというのは、小さな見た目からは想像もつかないくらいの力を常時かけ続けることになる。機械にとって一番良いのは、ゼンマイが完全に解けた状態、つまりトルクが0の状態であって、この状態を長くキープすることが機械の寿命を永らえる事につながる。これはよく覚えておいてほしい。

また、大事なことは、ゼンマイが少しでも巻かれている状態であれば、時計への負荷はかかり続けているという事である。よく、巻き上げきった状態が続くのが良くないと思っている人がいるが、90%巻き上げられた状態と20%巻き上げられた状態は、どちらも機械に負荷がかかっているという時点で等しく悪い(もちろん負荷の大きさは変わる)。

駆動系のほかは、自動巻き機構へのダメージである。常に動作し続ける部分である自動巻き機構はそれだけ摩耗や故障も多い。時計を止めないために巻き上げ続けるためにワインダーを買い、それによって自動巻き機構へダメージを与えることになっては元も子もない。回る速さは特に部品に影響するため、注意してほしい。回転速度が早ければ早いほど、当然負荷も高い。

時計の機械を長持ちさせないなら動かさないこと、これに尽きる。オートワインダーはこの原則に真っ向から立ち向かっているため、時計愛好家からの非難も絶えないのである。

ちなみに、巻き上げ方向とは逆にセットしておけば、すくなくとも上記2つのリスクのうち、駆動系へのダメージは軽減できる。

では、どのように使うべきか

僕の個人的見解で言えば、オートワインダーは、時計を保管するケースとして、また、その美しさを空間と調和させ、その場の誰か、あるいは自分自身と共有するにはとても良い製品である。審美性の高さや機能性の高さから製品の意義自体には大いに納得できるし、なんならカッコいいのがあれば僕もほしい

ただし、電化製品としての使用リスクに注意を払うこと、および時計内部の機械への負荷は最小限に留めることを忘れないようにしたい。具体的には、
  1. 信頼できるブランドの製品を買う。不良品報告や事故の報告が無いことをしっかりと確認する。
  2. 動かさない時にはすぐ主電源を切る、あるいは電源を抜くことができる製品を選ぶ。
  3. できるだけ香箱が”低いトルク”の状態を保ちつつ、”断続的”に”低速”で巻き上げ続ける設定が可能な製品を選ぶ。
  4. ただの時計ケースとして使う。
  5. 手巻き時計を入れ、無駄にくるくる回る様子を楽しむ。笑


以上、オートワインダー、あるいはワインディングマシーンに関する一考察でございました。読んでいる方の時計ライフに、少しでもお役に立てれば幸いです。


 *ヴィトン特注のウォッチワインダー、お値段たったの1000万円なり。
aw







AS1931搭載 アラーム時計Memostarのアンクル交換

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以前整備した時に不良だったアンクルなのだが、ネットで二千円くらいで買えたために交換を思い立ってみた。

新しいのと古いのを並べてみる。繋がって見えるけど二個あります。笑

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AS1931ムーブメントは長らく使われたアラーム付きのムーブで、いろんなメーカーが搭載している。そのためか換えの部品もまだまだ豊富にあるため、メンテ性はかなり良いビンテージ時計といえよう。

見た目はこんな感じ。
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テンプを取り外したところ。
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これがアンクル。ここを交換。
ムーブ名の刻印も見える。良いね!
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歩度調整を経て、また無事に動き出したMEMOSTAR君。これからも宜しくです。
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この時計は1977年ごろに売られていて、ちょうどこのころブライトリングと経営統合を果たすSICURA製である。なんでどこにもロゴ書いてないんだろう…?

以下、リストショット。

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良いですねえー。人と被る確率ゼロパー。



シャツにすっと収まるデザイン。
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時計好きの女史がたまたま近くにいたので彼女のものを見せてもらいつつ記念撮影。
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価格差何倍だ…?
ざっと計算すると左の時計で右の時計が1,000個くらい買える笑。
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以上、アンティークアラーム時計のアンクル交換のお話でしたとさ。






Cartier マストタンクの歩度調整

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前に不動品を買ってオーバーホールしたカルティエの初期型マストタンク、実はまだ歩度を調整できていないのであった。

というのも、ここ最近、パソコンでオーディオインターフェースを接続していつものごとくびぶ郎を起動しようとしたら謎のブルースクリーンが出てきてしまい、OSを巻き込んで落ちていたのであった。これについては後で詳しく書こう。


色々あってやっとエラー解消し、調整に入る。
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マイクはアコースティックギター用のピックアップを使用する。上の写真の左側にちょこっと見えている。

ケースの上からでも十分音が拾える!
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一日五分ほど遅れ気味であったので、緩急針を調整する。
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さすがのETA2512である。こないだやったYEMA MEANGRAFとは全然違う安定感…😁👍🏻

五分くらいいじってでこの結果。
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凄ない??すごい。
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姿勢差もほとんどなく、ピシャリ合ってくれた。50年近く前の時計が日差数秒以内で動くってのは、驚きである。

以上、マストタンクはデザインだけでなく中身も素晴らしいというお話でした。


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このサイズ感、以外に快適でオンで普通に使っている…













ドライバー研ぐです、ムズイです。

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時計いじりをしていると、必ず使うのがドライバー。様々な大きさのネジに対応するために何種類か持っておくのが普通なのだが、結構すぐ曲がったり欠けたりする。

今までは我流で研いできてのだが、ある日某若き時計師に研ぎ方を教えてもらって目から鱗であった。

ので、早速実践してみるなり。


まずは木を探してくる。スリ台と言って、ドライバーを固定するための台。

適当に庭で木を見つけた。
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ノコギリで適当な大きさに切り落とす。いい運動になった。
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水洗いして、カッターで切り込みを作る。

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ここにドライバーを乗せるわけですな。ちっさ!
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こんな感じ。研ぐ面が木からはみ出るようにする。

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砥石を乗せて…垂直方向に動かし、ひたすらこする!!研ぐ!
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反対側も。横から見て二等辺三角形を目指す。

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砥石のスリ目は直角に入るようにする。未熟すぎてまったく入ってない笑

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先端の厚み調整。地味にむずい。
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この後バリ取りを軽くかけて完了。

その他のドライバーについても同様に行う。
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大事な大事なベルジョンのドライバーセット、リフレッシュできました。良かったね!!

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この作業は慣れが必要で、教えてくれた方も毎日練習して身につけたと言っていた。僕も精進します。

以上、ドライバー研ぎのお話でした。天才若手時計師のE様、心からありがとございました。







分解掃除にうってつけ!穴ポコシート

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先日時計具材店で見かけて、タダで数枚もらったプラスチックのシート。元々は電池か何かの仕入れ時のケースだろうか?
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たくさん穴があるので、分解清掃時に部品を置いておくのに役に立ちそう…と思ったのだが、

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ビンゴ!

めっちゃ便利!!

僕はいつも、バラした部品とネジがあってるかどうか、組み合わせを間違わないかどうかをとても心配する人なのだが、これさえあれば、バラした部品とネジをセットで置いておけるので安心。

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僕の癖で、バラした部品は右上から左に向かって順に置いていく。


この写真では、右上に輪列を抑えるブリッジ、その横に輪列、その下にはアラーム機構と、左真ん中にはカレンダーとカレンダー抑えが置かれている。
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カレンダー周りは特にネジが多彩でしかも極小なので、これは本当に助かる。贅沢を言えば、透明な蓋が取り付けられればもっと良い。


こうして写真に撮っておけば、部品を超音波洗浄機で洗った後にまた正しくネジと組み合わせられる、これは久々にかなりいい買い物をした。なんでもっと早く気づかなかったんや…

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今やってるビンテージアラームムーブメント


使用後は水洗いもできるし、清潔。

身の回りに同じようなシートがある人、是非お試しくださいませ。

ちなみに小さいサイズの穴のシートもあり、こちらもネジ置きに使えそう。
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組み立て。Rolex 16233Gの輝きは素晴らしい!

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洗った部品が乾いたら、組み立てに入る。

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部品の一つ一つが美しく、かつ丈夫に作られている。ロレックスのいくつかのモデルは馬鹿げたプレミアがつきまくっているが、この品質を目の当たりにすると納得できてしまう。良いものは良い、以上!
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切り替え機構、日の裏側から組み立てて行く。切り替え機構にはシチズンのAO-3を注油。
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ダイアルは外した瞬間からケースの中でお寝んね。傷や汚れがつかないよう最大限気をつける。
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日の裏が終わったら輪列を組む。組みやすさに驚愕。本当に素晴らしいムーブ。ほぞ穴にはAO-2を注油。
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耐震機構は見たことがなかったので、ユーチューブでかなり予習が必要であった。バネが非常に折れやすいため、全神経を集中させて扱う必要がある。更には注油や石の取り付けなどとてもデリケートな作業になるため、めちゃめちゃ神経を使う。

練習が必要なので、やったことない人は絶対にジャンクムーブ何個かで練習する必要あり。

自動巻機構も、カポッと。
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すでに磨いて洗浄してあるケースに合わせる。
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ホイ。
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綺麗だ。
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パッキンは劣化していたため、新しいのに交換。ストックから合うやつを探して取り付ける。
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グリーシング。このスポンジに置いて、蓋を閉めてぐりぐり回すとグリースが塗布される。
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ピンセットで、ムーブやケースにグリースがつかないよう注意してパッキンをはめ込む。
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爪楊枝とか使う。

完成。
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テンプを調整するための特殊な器具を持っておらず歩度調整はできないので、機械の性能を信じるのみ。

試用、、という名の借用w
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ミーティングに何度か持ち出したが、存在感はやはり別格。

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小傷だらけだったバックルもスッキリ!
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ほんとはガラスの交換もしたいところなのだが、こちらも専用工具を持っていないため断念。十分綺麗なので良しとしよう。
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コンビモデルの16233G、時代を超えた美しさと気品を放っている。

歳をとるとゴールドに惹かれるのは、肌の色から明るさが失われるのも理由の一つだろう。肌はくすみ、黒ずんでも、腕に巻いた良質なゴールドの時計は、その心を照らすかのように輝きを失わない。
持ち主はこの時計に負けず、いつも輝いて周りを明るくしている方である。髪が緑やピンク、紫と目まぐるしく変わるのでいつも新鮮である。

これからどんどん活用してほしいなぁ。
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持ち主のK氏(とその旦那様、C氏)には喜んでもらえて何より。

その後素敵なシュークリームと、スリランカのお土産の紅茶を頂いた、ありがとうございました!


Rolex 16233G 分解洗浄 日の裏側

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続いて、日の裏側の分解に入る。個人的に日の裏は苦手で、理由は昔セイコーファイブのカレンダー抑えのバネを飛ばして無くしたトラウマと、ムーブによって仕組みが極端に異なるため、部品のそれぞれの役割と組み合わせを考えるのに骨が折れるからである。
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ところが流石ロレックス…こちら側も整備のしやすさを念頭において設計していることが伺える。なんと、カレンダーディスクは一つのネジも外さず、抑えを90度回転させるだけで取り外せるのであった。すごない???
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カレンダー送り機構の抑えの裏側。左上に弓のような部品があるが、カレンダーを正しい位置に固定するためのもの。大嫌いな針金式のバネではなく、部品と一体になっているタイプ。外すのもつけるのも簡単。素晴らしすぎる😭 すごいぞ!3135。
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切り替え機構が丸見えに。

左側の円形の部品はカレンダー送り。その左にある長細い部品も機構の一部。カレンダー送りの回転を止め、一気にジャンプさせる。
この部品の働きにより、日付が変わる直前までカレンダーが動かず、いきなりカシャって日付が変わる。これがデイトジャストというモデル名の由来である。
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時針が取り付けられる筒車を取り外す。
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カレンダー送り機構を取り外す。写真左上に映っているが、ここにはしれっと針金式のバネが仕込まれているため、指で押さえながら気をつけて外す。ロディコで抑えるだけだとバネのパワーに負けて飛ばされることがある。
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切り替え機構の抑えを外す。
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抑え。
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の、裏側。
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さて、切り替え機構。組むときに写真を見ながら組むことになるため、凝視。昔はスケッチして構造を覚えていたらしい…💧
簡単に、好きなだけ写真が撮れて、かつ綺麗な画面でズームまでできるiPhoneに感謝。
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カチャカチャとバラしていく。
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一つの部品を外すたびに一枚写真を撮る。ヘンゼルがパンのかけらを森に落とすが如く、丁寧に…
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全体も欠かさずに。
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切り替え機構は超慎重に。リューズとどう連動するのかを予測しながらバラしていく。古い油でベトベト。
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完了。
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きれいにプレートだけになりましたとさ。ビックリマンのキラキラのような模様はペラルージュ文様という。ゴム砥石を押し付けて作るらしいが、今度ミニルーターでやってみようっと。
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次は自動巻機構。
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抑えを外す。以前、この中の真ん中の黄色い歯車が錆びている個体を直したことがある。
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構造を忘れないように写真を忘れずに…!
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こっから超音波洗浄機に突っ込んで洗う。続く。

ROLEX 16233G 分解洗浄 輪列側

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ケースの方はオッケーなので、分解洗浄へ進む。

針を外す。
このギラついたダイアモンドインデックス、良いねぇ…!
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文字盤も外す。
側面に二つネジがあるので緩めて持ち上げるだけ。さすがロレックス、加工精度が高いのか、すごくスムーズに取り外せる…。安い(といっても数十万クラス)時計だとガタガタで取り外しにくかったりする。
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裏返して駆動系を分解していく。まずは駆動部の息の根を止める、という時計師の言葉を忘れずに…

3135 の素晴らしい両持ちブリッジ。いつ見ても惚れ惚れする…
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ブリッジごとテンプを取り外したところ。
テンプの左右、ねじ止めされていたところにハマっている金色の丸い輪っかは、テンプ受けの高さを変えてテンプのアガキを微調整するためのもの。ロレックス以外では見たことがない。素晴らしい工夫。これを考え出した人は天才すぎ。
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輪列受けを取り外したところ。
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三番車を外す。
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二番車、四番車を外す。波打つようにムーブ全体に刻まれているペラルージュが美しい…!
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香箱受けを外す。
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香箱も取り出す。
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真ん中の抑えも外す。
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これはハック機構部分。時刻合わせのためにリューズを引いた時、秒針を止めるためにテンプを停止させる役割を持つ。この金色の細長い部品がぴょこんと飛び出てテンプを止める。
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これもきちんと分解。
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つづく。



ROLEX 16233Gの外装研磨

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研磨といっても設備がないので、小キズを取る程度である。

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電動のミニルーターとサンエーパールで心を込めて磨く。

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うーん、まぁまぁ…か?🤔
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次はラグのヘアラインの部分。マスキングテープで周りを囲う。

まずはピラミッドベゼル。さらに側面もマスキングテープでカバーする。

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ちと分かりにくいが、下側の側面にマスキングしている。ヘアライン用研磨スポンジで一方向にシュッシュッと磨いていく。まずは荒い目から始め、三段階で細かい目のものに変えていく。
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こんな感じ。ラグ部分のヘアラインから小キズが消えてスッキリ!
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反対側。

奥に見えてるスポンジがヘアライン加工用のもの。

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ブレスも、コンビ部分の金色の所をマスキングした後、サンエーパールとミニルーターでガーッと磨く。

バックルの裏も抜かりなく…
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ジュビリーブレス、磨いたらキラキラ光ってめちゃ綺麗!最近GMTマスターのヘプシカラーがジュビリーブレスのモデルを出したが、やはりジュビリーブレスの方がカッコよく、グレード感があると思う。


バックル表側はつや消しなので、ヘアラインからラグ部分と同じように小キズを取る。

写真を撮ってないので、仕上がり後のものを載せる。
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つづく。

青文字盤が美しいホイヤーの分解掃除 その5

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洗浄、すすぎ、乾燥を終えて組み立てに移る。乾かすのが時間かかってめんどいんだよなぁ、乾燥機とかあればいいのになぁ…

地板。
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香箱はゼンマイを取り出して洗う勇気がないので、よほど汚れてなければグリーシングと注油で済ます。たぶん新しいのに変えてもそんなに高くないはず…
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日の裏側から組み上げる。毎度のことながら、こちら側はひやひやする。

組み上げたらリューズを回してきちんとキチ車がツヅミ車と噛み合って空回りせず回ること、一段引いてカレンダー送りが無事動くこと、さらに一番引いた状態で日の裏車やツツカナ車がきちんと回ることを確認する。
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続いて香箱抑えのブリッジの組み立てに入る。細いバネがあるのでやりにくい。じつはこのバネで弾いて1つ歯車を飛ばして焦ってしまった。

よいこのみんなは、先にバネを置かずに、ギアを設置して抑えをねじ止めしてから滑り込ませるように細いバネを入れ込みましょう。

このバネは、香箱の逆回転を抑止する、いわゆるこはぜバネの機構である。歯車にきちんと噛んでいるかチェック。

この画像の様にこはぜバネをさきに仕込んではならない。前々から思うことだが、こういうスプリングは往々にしてさきに抑えを取り付けてから滑り込ませる方が安全、確実に取り付けられる。
マニュアル読んでもこんな事書いてないんだよなー、常識すぎるという事なのだろうか?
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ネジ小さい…


ドライバーの先端を完璧に研いで磨いておかないと、ネジがぐらついたり傷つけたりしてしまう。これは抑えを置いていまからねじ止めする所。
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香箱を取り付け、ブリッジをつける。マニュアルを見ながら注油箇所には日本が誇る時計油であるAO-03を注油。ちなみに僕は日の裏側や切り替え機構も軒並みAO-03である。香箱の内側外周にもAO-03を置くように注油する。

じつは香箱を開けた時にしっかり締め切っておらず、少し浮いていたためブリッジをしっかり閉めたあと香箱がうまく回らなかった。
これで20分くらい悩んだ。

みなさん、香箱を開けたらしっかり閉めるようにしましょう💫

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後は輪列の取り付け。日本が誇る時計用オイル、AO-02を石に注油しながら取り付けていく。
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この時、いつも頭によぎるのは抑えの取り付けを失敗して、ガンギのほぞを折った苦い経験である。あの時の悔しさは二度と味わうまいと、最高に注意深く取り付けていく。

ガンギ車まで取り付け終わったら、ザラ回しと言ってリューズを回して少しだけトルクをかけ、輪列が回るか確認する。

ヒューンヒューンと良い音がすると気持ちいい!!…しかしトルクのかけすぎと回しすぎは厳禁。スムーズに回るか確認したら必要以上に回さないこと。
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ザラ回しで異常無しであればアンクルを取り付ける。アンクルをつけたらもうザラ回し出来ず、トルクが溜まっていくだけなのでリューズを回さないようにしましょう。
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最後にテンプを取り付けて、元気に動き出したらオーケー!何度やっても、この瞬間は感動してしまう。時計の神秘を感じる瞬間だ。
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元気に動くことを確認したら一旦トルクを解放して止め、テンプの受け石に注油していく。

耐震装置をピンセットで挟んで外し、ハンバーガーの蓋のように穴石にかぶさっている受け石をロディコで吸着して外し、ロディコで汚れを取って、AO-02を注油してまた蓋を閉め耐震装置で固定する。部品が小さすぎるので一息でやるのがポイント。

下の写真は耐震装置を外したところ。画像加工とかできないためとても分かりにくくて申し訳ない…画面中央、パカっと蓋のように耐震装置が開いてるのが見えるだろうか?
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地板の裏側も同じようにヨゴレ取り、注油をする。右下に写ってるのが耐震装置である。
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…ひとまず動くところまで組めて一安心。



その6へつづーく。




















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